ページの先頭です。

メニューを飛ばしてメインへ

メイン画像

乳腺・甲状腺外科

2015/01/08

1.乳腺・甲状腺外科とは

乳がんや乳房に関する疾患の診療を行います。特に乳がんは手術のみならず、薬物療法(化学療法、ホルモン療法)も担当します。また乳がん検診などで再検査が必要と判断された方の精密検査も行います。甲状腺疾患については主に手術を行います。

2.当科の特色

 乳がんは他のがん種と比べて薬物療法が非常に有効です。乳がんの治療は手術だけで終わることは少なく、薬物療法(化学療法、ホルモン療法、分子標的治療)や放射線療法など様々な治療手段を用いて最良の治療効果を目指す、集学的治療が行われます。そのため治療を円滑に進めていくためには放射線治療科、腫瘍内科、病理診断科、形成外科、緩和ケア内科など様々な科とのスムーズな連携が欠かせません。当院はあらゆる診療科を備えた県内有数の総合病院として病状の進行や治療に伴う様々な症状への専門的な対処が可能です。乳がんの治療法は薬物療法を中心に日々進化しており、年々治療成績も向上してきています。当科では常に最新のエビデンスに基づき都心の乳がん専門病院と同等の世界レベルの診療体系を提供することを目指します。

3.担当医

科長 高畠 大典
平成8年卒
日本乳癌学会乳腺専門医、指導医、評議員
日本外科学会外科専門医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
マンモグラフィー読影認定医
医学博士
副医長 大石 一行
平成17年卒
日本外科学会外科専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
マンモグラフィー読影認定医
日本食道学会食道科認定医

4.外来

午前

午後

午前 午後

午前

午後

高畠大典

高畠大典

  大石一行

高畠大典

高畠大典

 

5.乳がん手術症例数

 

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

乳がん手術件数

28例

31例

24例

39例

42例 

 

6.診療について

  1. 診断
    乳がんの診断は主に視触診から始まりますが、マンモグラフィー、超音波検査などを行い、乳がんの疑いがあると判断された場合、病変部に針を刺して組織を一部採取し、病理検査によって確定診断を行います。当院では吸引式乳房組織診断装置(VACORA)を常備しており、ほとんど傷を残さず、より確実な診断が可能です。近年しこりを触知せずマンモグラフィーの石灰化のみで発見される早期乳がんが増えてきましたが、これに対しては同じく吸引式乳房組織診断装置(マンモトーム)を用いて確定診断を行います。
  2. 手術
    主に乳房温存術と乳房切除術が行われます。治療成績はどちらの方法でも差はありませんが乳がんのしこりの大きさや広がり、患者さんの希望などを考慮し手術の方法を決定します。しこりが大きく乳房温存術が難しい場合でも手術前に薬物療法(主に化学療法)を行う事により温存術が可能になる場合があります。乳がんは腋のリンパ節に転移しやすく術前検査で転移があると判断された場合は腋のリンパ節を切除します(腋窩リンパ節郭清)。ただし近年では手術後の不要な合併症を避けるため術前検査で転移がなさそうと診断されれば腋窩リンパ節郭清は行わず、腋のリンパ節を一部だけ取って転移の有無を調べるセンチネルリンパ節生検が一般的に行われています。当科では色素と放射線同位元素(RI)を併用したセンチネルリンパ節生検を行っています。
  3. 乳房再建について
    乳癌や乳腺腫瘍により乳房切除術を受けられた患者さんの乳房再建術で近年、世界的にも最も多く行われているのは皮膚拡張期(ティッシュエキスパンダー)やゲル充填人工乳房(ブレストインプラント)を用いた方法です。日本でも2013年7月にこれらを使用した乳房再建術が保険適応になりました。これにより今までは自費で高額な費用が必要であったブレストインプラントによる乳房再建術が保険医療の範囲で行えるようになりました。ただしこれを行なえる施設は現時点では厚労省や学会が定めた条件を満たした施設に限定されており、当院は県内ではまだ数少ない実施施設に認定されています。さらに2013年10月には再建後の整容性が優れているとされるしずく型のブレストインプラントも保険適応となり、乳房再建を希望する患者さんにとってはさらなる朗報となりました。
      乳房再建術は形成外科と共同で行います。再建は乳癌の手術と同時に行う事が一般的ですが乳房切除術後、後日再建だけを行う事もできます。詳しくは乳腺外科または形成外科までお気軽にご相談下さい。
  4. 薬物療法
    化学療法(抗がん剤)、ホルモン療法、分子標的治療があります。どの方法を行うかは手術で採取した乳がんを詳しく調べる病理検査の結果から判断します。手術後の再発を防ぎ、治癒率を上げるために行う場合と、すでに遠隔転移がある方や再発した方に対して症状コントロール目的で行う場合の2通りがあります。
  5. 放射線療法
    薬物療法と同じく、手術後に治癒率を上げるために行う場合と、既に転移がある方や再発した方(骨や脳など)に対して症状コントロール目的に行う場合があります。治療は必要と判断した時に当科より放射線療法科に依頼して行います。

7.進行再発乳がんの治療について

初診時にすでに遠隔転移(骨、肺、肝臓など)がある方や手術後に再発した方に対しても積極的に治療を行っていきます。この場合は薬物療法が治療の中心になりますが随時、放射線療法科、緩和ケア内科など他科との連携を図りながらできるだけ生活の質を落とさずに治療を継続していくことを目標にしています。そのため可能なかぎり副作用が軽いホルモン療法から治療を開始し、効果があればできるだけそれを長く維持していくことを目指します。

8.乳がんと遺伝について

乳がんの大部分は遺伝しないとされていますが、家系内で乳がんが多発していたり、若年発症であった場合、遺伝が関与する乳がんの可能性があります。この場合、反対側の新たな乳がんの発症や卵巣がんのリスクも高くなり、さらに親族の乳がん発症リスクも高まる場合があります。遺伝が関与している乳がんかどうかを調べる方法として遺伝子検査があります。遺伝子検査は健康保険の適応外となり実費での検査となります。遺伝子検査の実施にあたっては遺伝カウンセリングを受けていただく必要があります。詳しくは乳腺甲状腺外科外来または主治医までお気軽にお問い合わせください。
 

9.外来化学療法について

点滴の化学療法や分子標的治療などは初回は原則入院で行いますが2回目以降は外来通院で行います。当院ではベッド数21床の外来化学療法室を備え、がん看護専門看護師が常駐しており、ストレスなく安全な治療が継続できるよう配慮しています。また化学療法が長期になる可能性のある方には腕に点滴用のリザーバーを造設させていただくことがあります。これにより毎回の針刺しに伴うストレス、点滴漏れ等の懸念がなくなります。

10.リンパ浮腫について

乳がんの手術の際に腋のリンパ節を切除する場合があります。その場合術後に手術を行った側の上肢が腫れてくるリンパ浮腫が起きることがあります。残念ながら一度発症したリンパ浮腫を根本的に治癒させる方法はありませんが症状が軽いうちにマッサージやケアを行う事で症状の悪化を防ぎ、より快適な生活を送ることが可能になります。当院では医療リンパドレナージセラピストが常駐しており適切なアドバイスやケアを行います。お困りの際は一度乳腺外来へご相談下さい。

11.臨床試験について

乳がん治療は日々進歩しておりますが、より良い治療法の開発には臨床試験が欠かせません。当院は岡山大学を中心としたNPO法人瀬戸内乳腺事業包括的支援機構(Setouchi Breast Project)への参加施設となっています。本法人は中四国地方の関連施設と共同で臨床試験、専門医の教育、乳がん登録事業、患者さんへの啓蒙などを通じて中四国地方の乳癌診療の質の向上や新たなエビデンスを発信することを目的に設立されました。他にも多施設での共同の臨床試験などに積極的に参加していきます。患者さんにはご協力をお願いすることもあると思いますがその際はよろしくお願いいたします。

12.その他

治療に対する不安や悩みについてはがん看護専門看護師やがん相談窓口も、経済的なご相談については院内のソーシャルワーカーも対応致します。お気軽にご相談下さい。

(2014年1月 文責 高畠大典)

13.甲状腺外科外来について

【甲状腺外科外来について】
 甲状腺疾患の他に副甲状腺(上皮小体)疾患や頚部腫瘤などの診断および手術を中心に診療を行っています。基本的には甲状腺の外科的治療を目的とする外来となりますので、内科的治療を行う患者さんは内分泌科を紹介させて頂いています。
【甲状腺の手術】
 良性腫瘍(腺腫様甲状腺腫、濾胞腺腫など)、悪性腫瘍(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌、悪性リンパ腫など)、バセドウ病などに対して手術を行っています。初発手術にとどまらず再発手術にも積極的に取り組んでいます。

良性腫瘍の手術適応

(1)3〜4cm以上の大きな腫瘍、(2)増大傾向、(3)圧迫またはその他の症状(嚥下困難、呼吸苦など)、(4)整容性の問題、(5)悪性が否定しきれない、(6)縦隔内へ結節が進展、(7)機能性結節である、(8)サイログロブリン(Tg)が異常高値である(目安として1000ng/dl以上)。以上のような患者さんを手術適応としています。

悪性腫瘍の手術適応

腫瘍に針を刺して細胞をとる検査「穿刺吸引細胞診」で悪性腫瘍と診断がついたものは原則手術適応となります。症例に応じて片葉切除、亜全摘術、全摘術、頚部リンパ節廓清術を使い分けます。径1cm以下の甲状腺癌を微小癌といいますが、これについては状況に応じて手術適応となる場合と、経過観察となる場合があります。当院では気管や反回神経に近い位置にある、リンパ節転移が明らか、細胞診で異型性が強い、経過観察中のサイズ増大やリンパ節転移出現などのハイリスクな微小癌については手術をお勧めしています。経過観察中の患者さんにそういったハイリスク因子を認めた場合には手術の提案をしています。
 「放射性ヨード治療について」・・・ハイリスクであり甲状腺全摘術を行った患者さんに対してI-131を用いた放射性ヨード内用療法をお勧めする場合があります。これは残存甲状腺組織の除去を行うことで局所制御率や無病生存率を向上させるという報告に基づいた治療です。当院では放射性ヨード内用療法が行えないため、内用療法が必要な患者さんにはそれが可能な施設の紹介をしています。また、肺転移などの遠隔転移がある患者さんにも同様に内用療法を目的として紹介を行っています。

バセドウ病の手術適応

(1)抗甲状腺薬の副作用、(2)抗甲状腺薬治療に対する治療抵抗性、(3)甲状腺の著明な腫大、(4)悪性腫瘍の合併、(5)社会生活の上で早期に確実な寛解を期待する。以上のような患者さんには甲状腺亜全摘術の適応となります。

<甲状腺手術件数>

 

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

甲状腺手術件数

42例

46例

29例

24例

53例

 

【副甲状腺の手術】

 良性腫瘍(原発性・二次性副甲状腺機能亢進症)、悪性腫瘍(副甲状腺癌)に対して手術を行っております。
副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺の腺腫、過形成、癌などにより副甲状腺ホルモン(PTH:パラトルモン)の産生が増加し様々な症状(腎結石、血尿、骨痛、関節痛、便秘、嘔気、食欲低下、筋力低下、不安、疲労感、無気力、鬱状態、不眠など)が出現する病気です。血液検査や画像検査で診断を行い、腎機能低下、血清カルシウム値高値、骨密度低下や症状が比較的強い患者さんが手術適応となります。手術は副甲状腺の摘出を行いますが、副甲状腺の全摘を行う患者さんに対しては前腕や頚部の筋肉内への自家移植を追加することもあります。

<副甲状腺手術件数>
 

 

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

副甲状腺手術件数

5例

4例

6例

2例

8例

 ひとくちに「頚部の手術」といっても症状によって治療方針は大きく異なります。術前に適切な診断を行い、術後のリスクも考慮した上で、必要であれば消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科と協力して手術に取り組んでいます。不明な点がありましたら外来担当医に遠慮なく相談をして下さい。全力でサポートさせて頂きます。