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前立腺がんの治療法−あなたの選択について−

2020/01/15

前立腺がんの治療法−あなたの選択について−

前立腺がんと診断された場合にはコンピューター断層撮影(CT)や骨への転移を調べる骨シンチグラフィーなどを行ない、がんがどこまで広がっているかを調べます。これらの検査の結果から治療に移ります。治療は、病気の広がり(病期)に応じて、(1)手術、(2)放射線治療、(3)内分泌治療、(4)抗がん剤治療、あるいはそれらを組み合わせて行ないます。
当科での治療の原則を病期別に説明しました。

病期分類と治療法


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(1)病期A(偶発がん)

前立腺肥大症の手術の時、偶然発見されるがんです。
このまま成長しないがんをA1、臨床がんに進むタイプをA2と区別します。A1では定期的なPSA測定による経過観察、A2では前立腺全摘除術あるいは放射線療法が選択されます。


(2)病期B(限局がん)

前立腺の内部にとどまっている早期の段階です。前立腺全摘除術あるいは放射線療法が選択されます。
 

(3)病期C(局所浸潤がん)

前立腺の表面を越えて周囲まで広がった段階です。直腸診では硬くごつごつした感触があります。治療としては内分泌療法が主体になりますが、前立腺全摘除術あるいは放射線療法が行われる場合もあります。
 

(4)病期D(転移がん)

Cの段階がさらに進行し、骨やリンパ節など他臓器に転移をしている段階です。内分泌療法が主体になりますが、抗がん剤による化学療法を併用する場合もあります。

治療について 



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(1)前立腺全摘除術

がんのある前立腺と周囲の精のう、リンパ節を摘出する手術です。病期B(限局がん)ではこの手術によりがんを確実に摘出することが可能です。
前立腺を摘出後、膀胱と尿道をつなぎ、尿道にカテーテルを置きます。尿道カテーテルは手術後約1週間で抜きます。しばらく尿失禁の状態となることがありますが、徐々に回復してきます。性機能障害(勃起障害)がみられますが、がんの拡がりに応じて勃起神経の温存を行い性機能の保持を試みることもあります。
当科では下腹部に4ヶ所の穴をあけて内視鏡や鉗子など挿入して行う手術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)、あるいは切開創を従来の方法より小さくし(5〜7cm)、内視鏡を併用して行う術式(小切開前立腺全摘除術:県下では唯一の認定施設です)を行っています。
前立腺全摘除術についてはロボット支援下手術が2012年より保険適応となり一般的に行われるようになりました。しかし、残念ながら当院には手術支援ロボットの設備が未導入です。状態によってはロボット支援手術を行うほうが適当な方もおられますので、その場合はご相談のうえ近隣施設へ紹介させていただきます。
詳細は担当医にご相談ください。

 

(2)放射線療法

放射線でがん細胞を殺す治療です。
放射線をあてる方法には、外照射と組織内照射があります。
外照射:身体の外から前立腺を狙って照射を行います。CTスキャンとコンピュ−タを組み合わせて正確に前立腺をねらった照射を行います。一般的には約2ヶ月の治療期間が必要となりますが、外来通院での治療が可能です。遠方の場合は入院での治療も考慮いたします。
組織内照射:前立腺に針を刺し、一時的に高線量の放射線を照射する方法と、放射線チップを永久的に埋め込む小線源治療があります。病期Bで悪性度の低い場合が対象となります。当院には組織内照射の設備がありませんので適当な施設を紹介します。
放射線療法の副作用としては、排尿間隔が短くなる頻尿、排尿痛、痔の悪化、肛門痛、直腸からの出血、皮膚のただれなど一種のやけどのような症状が現れる場合があります。性機能障害(勃起障害)が起きることもあります。
当院では最新の強度変調放射線療法(IMRT)が導入されており、従来に比べより効果的で副作用の出現が抑えられるようになっています。

 

(3)内分泌(ホルモン)療法


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前立腺がんは男性ホルモンによって増殖します。
したがって男性ホルモンの働きを抑えれば前立腺がんの進行を食い止めることが出来ます。この現象を発見し治療に応用したアメリカのハギンズ博士は1966年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。
男性ホルモンの産生を抑えるために精巣(睾丸)の摘出が行われますが、最近では薬剤による治療も行われます。以下の薬剤がこの治療に使用されています。
LH-RHアナログ剤:精巣で男性ホルモンが作られるのを抑制します。
抗男性ホルモン剤:前立腺がんに男性ホルモンが作用するのを遮断します。
内分泌療法は手術や放射線に比べ副作用が軽いことが特徴です。まれに、ほてり、発汗、食欲不振、肝機能障害などが見られることがありますが、高齢の方や合併症のある方にも安全に使用することが出来ます。ただし,薬剤の効果は永久というわけではなく、はじめは効果があっても徐々に効かなくなってきます。

 

(4)抗がん剤による化学療法

いわゆる「抗がん剤」を使う治療法です。進行がんや内分泌療法が効かなくなった場合に行います。前立腺がんの場合、抗がん剤治療の効果はあまり高いとは言えませんが、新しい薬剤も用いられるようになっています。

 

(5)監視療法

早期で悪性度が高くない前立腺がんの場合には、すぐに治療を行わず2〜3ヶ月おきのPSA測定などにより経過観察を行うこともあります。

 

治療方針は前立腺がんの進行の程度(病期)、がん細胞の悪性度、患者さんの年齢、合併症の有無や程度などによって選択されます。いくつかの治療法を組み合わせてより効果のある治療を目指す場合もあります。最終的には担当医と患者さんが話し合い合意の上で決定しますが、前立腺がんは早期であれば完全に治すことができますし、たとえ進行していても有効な治療法があります。新しい有効な治療法も開発されつつあります。けっしてくじけることなく前向きに治療に取り組んでください。




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