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薬剤局
2019/05/10
1.薬剤局の紹介
薬剤局長の挨拶

高知医療センター薬剤局では「“臨床薬剤師”として、人に社会に貢献できる薬学ケアサービスを実践する」を理念にかかげ、臨床薬剤業務に取り組んでいます。昨今、医療を取り巻く環境は大きく変化し、薬剤師の役割も少なからず変化してきました。2014年6月施行の改正薬剤師法では “必要な薬学的知見に基づく指導”が義務付けられ、それまで薬中心であった“対物業務”から、より患者さんに向き合う“対人業務”への転換が求められました。また同年に公表された日本学術会議からの「薬剤師の職能将来像と社会貢献」と題した提言では、医療の場における薬剤師の新たな機能として、薬物治療、とりわけ個々の患者さんに適した処方提案や医薬品の安全確保、治療計画立案への参加や副作用防止などのいわゆる“チーム医療”への貢献が期待されています。私たちは、薬剤師の役割は医薬品に関する正しい知識を医師や患者さんに提供し、医薬品の適正使用や安全管理に責任をもつことと考え、調剤は勿論のこと、病棟薬剤業務、感染対策、救急医療支援、栄養サポート、緩和ケアなどのチーム医療に積極的に参加し、様々な場面でその使命を果たしてまいりました。なかでも当院の救命救急センターICUでの薬剤師の取組みがエビデンスのひとつとして採用され(第310回中央社会保険医療協議会総会資料)、平成28年度の診療報酬改定において「病棟薬剤業務実施加算2」の新設に繋がったことは大きな成果のひとつと考えています。
今後予想される超高齢社会に向けて、病床の機能分化と連携の推進が求められていますが、今後も薬剤師としてひとつひとつの課題に取組み、時代のニーズに合った薬剤師像を求めていきたいと思います。最後になりましたが、県民・市民の皆様が安心・安全で納得できる質の高い医療に貢献し、薬剤師としての信頼をいただけますよう、薬剤局職員一丸となってより一層の努力をしてまいりたいと考えていますので、なにとぞよろしくお願いいたします。
(平成30年6月 田中聡)
2)薬剤局の理念
“臨床薬剤師”として人に、社会に貢献できる薬学ケアサービスを実践する
3)薬剤局の目標
(ア)個々の患者さんの立場に立った薬学ケアサービスを提供する。
(イ)プレアボイド(危険回避)の概念に則って、臨床薬剤師としての義務と権利について責任を担う。
(ウ)薬物治療の標準化やEBM(根拠に基づいた医療)の実践などを推進することにより、効率性、効果性などに貢献する。
(エ)地域医療支援病院として、保険薬局や医療機関などとの密接連携だけでなく、県民・市民の方々への医薬品情報提供などのサービスを行う。
(オ)日常業務のなかで、教育・研修活動などを行い、臨床薬剤師としての向上をめざす。
4)薬剤局の組織
薬剤局長:田中 聡
薬剤局次長:段松 雅弘
医薬品管理部長:段松 雅弘(兼務)
臨床薬剤部長:公文 登代
調剤科長:高平 豊
製剤科長:市川 知加子
医薬品情報科長:下内 由加里
薬剤管理指導科長:藤澤 康代
救急医療支援科長:橋田 真佐

5)専門薬剤師・認定薬剤師等
(ア)日本医療薬学会認定薬剤師:2人
(イ)日本静脈経腸栄養学会栄養サポートチーム(NST)専門薬剤師:1人
(ウ)日本病院薬剤師会がん薬物療法認定薬剤師:1人
(エ)日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師:1人
(オ)日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師:2人
(カ)日本薬剤師研修センター認定実務指導薬剤師:7人
(キ)日本病院薬剤師会認定指導薬剤師:2人
(ク)日本臨床救急医学会救急認定薬剤師:3人
(ケ)日本DMAT隊員:3人
2.教育研修の概要
1)職員研修
薬剤局内では、新薬に関する勉強会、病棟業務の症例検討会などを毎週開催するとともに、全国学会・地方学会、院内・院外の研修会などに積極的に参加し、職員の知識・技能の向上を図っています。
2)認定薬剤師の養成
地域がん診療連携拠点病院として、がん専門薬剤師の養成に取り組むとともに、現在、緩和薬物療法認定薬剤師、感染制御専門薬剤師等の養成に取り組んでいます。
3)医師・看護師への研修指導
新規採用の医師・看護師に対して、医薬品の取扱や基礎知識、安全使用のための研修指導を行っています。
4)薬学生実務実習の受入
薬学6年制に伴い、薬学5年生を対象に、病院薬剤師の業務と責任を理解し、チーム医療に参画できるようにするため、調剤および製剤、服薬指導などの薬剤師業務に関する基本的知識、技能、態度を見学研修することを目的として、11週間の実務実習を受け入れています。


左写真:薬学生への講義
右写真:薬学生の院内見学
5)卒後臨床研修生の受入
卒後の薬剤師を対象に、「患者さん中心の医療」への関わりをベースにして、薬剤師として必要な基本的知識、技術、素養を身につけ、医薬品の有効性および安全性の確保、チーム医療の実践、地域医療づくりへの関わりなど、実践的な行動力を身につけることを目的として、卒後臨床研修を受け入れています。研修期間は原則3ヶ月間としていますが、抗がん剤の無菌調製や病棟業務など、研修生の希望に沿ったカリキュラムを作成し、短期間の見学研修も受け入れています。
3.薬剤局の業務
1)調剤科
調剤科では、開院時より、電子カルテシステムと連動した自動調剤システム(薬袋発行機、全自動錠剤分包機、散剤監査システム、散剤分包機、水薬監査システム)と注射薬自動払出システムを導入し、調剤業務の効率化と精度の向上を図っています。調剤科の業務は、医師の処方せんに基づく調剤および注射薬の患者別セット、医薬品の購入と供給、麻薬・向精神薬・特定生物由来製品の管理業務などです。特に調剤においては、処方内容を薬剤師の立場から監査し、少しでも疑わしい点があるときには、処方医師に必ず問い合わせを行い、薬剤師として納得してから調剤することを徹底し、医薬品の安全管理に力を入れています。3交替制勤務を行い、24時間体制で調剤業務に対応しています。
外来患者さんには、原則、院外処方せんを発行していますが、時間外や休日には院内処方で対応しています。抗がん剤や喘息用吸入薬などが処方された患者さんには、医師からの依頼を受けて、患者さん一人一人に対して丁寧な服薬指導を行い、また、糖尿病教室や腎臓病教室にも参加し、お薬の話をさせていただいています。



左写真:注射薬調剤
中写真:散剤監査システムを利用した散薬調剤
右写真:内服・外用調剤


左写真:内服・外用監査
右写真:調剤科メンバー


左写真:院外処方せんコーナー
右写真:外来患者さんへの糖尿病教室
2)製剤科
製剤科では、市販されていない製剤(院内製剤)の調製、抗がん剤の無菌調製、高カロリー輸液の無菌調製、抗がん剤のレジメン管理などの業務を行っています。当院では、開院時より、抗がん剤レジメンオーダシステムを導入し、医師が抗がん剤の指示を出す際には、投与量、休薬期間、重複レジメンなどの自動チェックを行っています。また、薬剤師による処方監査を徹底して行い安全管理を図るとともに、調製は、原則、すべて、薬剤師が安全キャビネット内で無菌的に行っています


左写真:電子カルテを利用した抗がん剤のレジメン管理
右写真:安全キャビネット内での薬剤師による抗がん剤の無菌調整
3)医薬品情報科
医薬品情報科では、医薬品情報の収集と提供、医師・看護師など医療スタッフからの医薬品に関する問い合わせへの対応、医薬品の採用・削除に関する検討、院外処方せんに対する保険薬局からの疑義照会への対応、院内における副作用情報の収集と厚生労働省への報告などの業務を行っています。入手した医薬品安全性情報のうち、迅速かつ確実な対応が必要と判断した際は、当該医薬品を処方した医師及び投与された患者さんを速やかに特定し、処方医師に院内メールを利用して周知しています。
医薬品情報は医薬品の適正使用に不可欠です。今後も医薬品情報管理の収集・提供・周知に積極的に取り組み、医薬品適正使用を推進していきたいと思います。


左写真:製薬会社からの医薬品情報の収集
右写真:院内情報Webを利用した医薬品情報の提供
4)薬剤管理指導科
薬剤局では、全入院フロアに薬剤師を常駐させ、医師、看護師、管理栄養士と連携して病棟業務を行っています。病棟業務は、職員全員が関わることとし、入院フロアごとに3名でチームを組み、薬剤管理指導科に配属された職員が各入院フロアのリーダを務めています。
業務内容は、病棟における麻薬・向精神薬・毒薬などの薬品管理、高リスク医薬品の薬歴管理、患者持参薬の鑑別・登録、入院患者さんに対する薬剤管理指導(服薬指導)、医療スタッフへの医薬品情報の提供、医薬品の安全管理、抗菌薬の初期投与設定・TDM(薬物治療モニタリング)など多岐にわたります。



左写真:糖尿病患者さんへの服薬指導
中写真:脳神経外科病棟でのチーム医療の実践
右写真:薬剤管理指導科メンバー
5)救急医療支援科
薬剤局では救急医療支援科を設置し、救命救急センターに専任薬剤師を配置しています。担当の薬剤師は麻薬・向精神薬・毒薬の管理と配置薬品の適正管理、ベッドサイド巡回と服薬指導、薬物中毒情報の提供、救急カートの適正使用などの臨床薬剤業務を行っています。ベッドサイド巡回では、処方のチェック、注射薬の投与速度と希釈濃度の確認、注射薬配合変化・投与ルートの確認、栄養サポート、感染制御などの薬学的管理を行い、医師・看護師と連携して医療安全の確保に努めています。


左写真:ベッドサイド巡回による薬学的管理
右写真:医師への医薬品情報提


左写真:救命救急センターでの回診同行
右写真:救命救急カンファレンスへの参加
4.チーム医療への参加
1)医療安全管理
医薬品安全管理責任者(薬剤局長)として、医薬品安全使用のための業務手順書の作成と業務の実施、職員に対する安全使用のための研修などを行っています。また、院内で発生した医薬品のインシデント事例には、医療安全管理室および他職種のセイフティマネージャーと連携して、改善のための方策を検討し実施しています。
2)院内感染対策チーム(ICT)・抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
ICT委員会、ICTカンファレンス、ICTラウンドに参加し、抗菌薬や消毒剤の適正使用の推進に取り組んでいます。また、2018年4月からはASTを編成し薬剤師を中心に感染症治療をサポートしています。
3)栄養サポートチーム(NST)
NST管理委員会、NSTカンファレンス、NSTラウンドに参加し、静脈および経腸栄養の管理について薬学的支援を行っています。
4)褥創対策チーム
褥創防止委員会に参加し、薬学的支援を行っています。
5)緩和ケアチーム
緩和ケア委員会に参加し、薬学的支援を行っています。


左写真:院内感染対策室で医師・臨床検査技師とICTカンファレンス
右写真:医師・管理栄養士とNSTカンファレンス
5.臨床研究
自治体病院としての使命と責任を果たすため、臨床研究に力を入れています。医薬品の安全管理、抗菌薬適正使用の推進、薬剤管理指導などの臨床薬学の分野で毎年10数回の学会発表を行い、薬剤業務の質的向上に努めています。
1)単行本・書籍・論文等
2)学会発表
3)受賞・表彰・顕彰
- 学会賞、学術賞、医学貢献など
No | 受賞・表彰者氏名 | 種類 | 表彰内容、論文・演題のタイトル | 授賞機関等 | 年月 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 田中照夫 | 表彰 | 薬事功労者 厚生労働大臣表彰 | 厚生労働省 | 2008年10月 |
2 | 宮本典文 | 表彰 | 高知県病院薬剤師会功労賞 | 高知県病院薬剤師会 | 2010年4月 |
3 | 山本創一 | 第47回自治体病院学会最優秀演題受賞 | 演題:高知医療センターにおけるがん化学療法の安全管理体制の構築と地域がん診療連携病院における薬剤師の役割 | 全国自治体病院学会 | 2009年10月 |
4 | 山本創一 | 表彰 | 高知県病院薬剤師会功労賞 | 高知県病院薬剤師会 | 2013年4月 |
5 | 川田 敬 | 学術奨励賞 | 論文:救命救急センターにおける医療安全管理への薬剤師の貢献 | 日本病院薬剤師会 | 2013年9月 |
6 | 服部暁昌 | 表彰 | 高知県病院薬剤師会永年会員表彰 | 高知県病院薬剤師会 | 2014年4月 |
7 | 松本尚子 | 第52回自治体病院学会最優秀演題受賞 | 演題:無医地区における携帯型電子カルテシステムの構築と薬剤師の役割 | 全国自治体病院学会 | 2014年10月 |
8 | 服部暁昌 | 表彰 | 薬事功労者 厚生労働大臣表彰 | 厚生労働省 | 2014年10月 |
9 | 川田 敬 | 第26回日本医療薬学会年会優秀演題賞 | 演題:急性期脳卒中患者におけるニカルジピン塩酸塩持続投与関連静脈炎の危険因子の検討 | 日本医療薬学会 | 2016年9月 |
10 | 岡崎由紀 | 表彰 | 高知県病院薬剤師会永年会員表彰 | 高知県病院薬剤師会 | 2017年4月 |
11 | 川田 敬 | 医療薬学フォーラム2017第25回クリニカルファーマシーシンポジウム優秀ポスター賞 | 演題:急性期脳卒中患者における重症せん妄の危険因子の検討 | 日本薬学会医療薬科学部会 | 2017年7月 |
12 | 浜田一成 | 第55回全国自治体病院学会優秀演題受賞 | 演題:救命救急センターICUにおける病棟薬剤業務の方向性の検討 | 全国自治体病院学会 | 2016年10月 |
13 | 中井梨郁 | 第56回全国自治体病院学会優秀演題受賞 | 演題:脳神経外科病棟における薬剤師の関わり | 全国自治体病院学会 | 2017年10月 |

6.業務統計
分類 | 項目 | H17年度 | H18年度 | H19年度 | H20年度 | H21年度 | H22年度 | H23年度 | H24年度 | H25年度 | H26年度 | H27年度 | H28年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
調剤 | 外来院内処方せん(枚) | 9,681 | 9,424 | 8,928 | 7,811 | 10,039 | 10,908 | 8,112 | 8,402 | 8,534 | 7,398 | 6,817 | 7,593 |
外来院外処方せん(枚) | 68,861 | 69,543 | 67,028 | 66,852 | 74,192 | 83,837 | 89,113 | 93,800 | 93,005 | 92,310 | 89,930 | 89,523 | |
入院処方せん(枚) | 81,119 | 81,974 | 76,398 | 70,920 | 79,792 | 80,698 | 80,660 | 87,664 | 87,197 | 81,469 | 83,185 | 79,323 | |
外来注射処方(件) | 3,212 | 3,670 | 3,983 | 3,335 | 4,861 | 7,640 | 10,121 | 8,405 | 6,945 | 7,260 | 7,471 | 5,557 | |
入院注射処方(件) | 398,249 | 429,972 | 423,766 | 458,054 | 463,094 | 469,257 | 451,904 | 406,362 | 421,874 | 429,464 | 447,724 | 425,804 | |
抗がん剤注射処方(件) | 20,943 | 20,991 | 25,522 | 31,294 | 26,884 | 28,083 | 29,938 | 23,909 | 24,303 | 25,452 | 32,529 | 37,553 | |
製剤 | TPN無菌調製(件) | 2,420 | 1,436 | 1,506 | 2,035 | 1,579 | 1,291 | 1,307 | 1,358 | 1,459 | 1,531 | 1,558 | |
抗がん剤調製(件) | 8,236 | 9,217 | 11,672 | 11,404 | 10,866 | 12,498 | 11,137 | 10,819 | 12,161 | 14,709 | 15,527 | ||
薬剤管理指導 | 薬剤管理指導算定(件) | 12,517 | 13,522 | 13,769 | 16,304 | 15,798 | 17,332 | 16,453 | 15,623 | 17,644 | 15,069 | 15,454 | |
医薬品情報 | 医薬品情報質疑応答(件) | 3,217 | 3,284 | 3,322 | 5,309 | 4,916 | 5,649 | 6,365 | 5,926 | 7,451 | 6,597 | 6,122 | |
その他 | 薬学生実務実習受入(人) | 13 | 8 | 0 | 5 | 5 | 5 | 6 | 6 | 5 | 6 |
7.薬剤業務に関する資料
薬・薬連携による情報提供

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