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医療事故の個別公表(H31.2.18)について

2019/03/01

医療事故の個別公表

慢性便秘症の患者にグリセリン浣腸を実施し、直腸穿通をきたした

<概要>

1.患者   80代  男性

 

2.経過
 1)原疾患治療のための薬剤の影響で、入院前から慢性便秘があり、入院後も緩下剤内服や浣腸で排便コントロールを行っていた。
 2)4日間排便がなく、患者さんから浣腸の希望があった。看護師は浣腸実施時の標準的な体位である、ベッド上側臥位での実施を勧めたが、患者さんは、浣腸液がすぐ出るのでトイレでして欲しいと希望された。
 3)トイレへ移動し、グリセリン浣腸液60mlのチューブに潤滑剤を塗布し、立位で挿入した。抵抗なく挿入でき浣腸液を注入したが、出血はなく痛みの訴えもなかった(後に主治医が患者さんに確認した時には、痛かったが看護師には痛くないと言ったとのこと)。
 4)10分後に排便困難の訴えがあり、肛門周囲に腫脹と少量の出血を認めた。
 5)消化器外科医師の診察を受け、直腸診で硬便が多量に確認され摘便を実施した。
 6)その後に撮影した腹部単純X-Pでは直腸穿通の所見はなく、結腸に多量の便貯留が確認された。しかしその後、さらに陰嚢の腫脹が出現し、CTにて直腸右壁から腸管の外にフリーエアが確認され、直腸穿通と診断された。
 7)病態が悪化した場合、直腸、肛門周囲膿瘍やフルニエ壊疽にまで進展し、全身状態が悪化することも危惧され、翌日、腹腔鏡下にストマ造設術を施行した。

 

3.事故の背景要因
 1)患者さんは慢性の便秘症で、直腸に硬便が多量に貯留していた。そのため肛門周囲がうっ血状態になっていた。硬便が多量に貯留している状態で浣腸を実施することは、それ自体が直腸壁を穿通するリスクであった。
 2)術中に穿通部位の確認はできていないが、経過や画像所見から浣腸と穿通の因果関係はほぼ確実であり、浣腸の実施時の体位は危険とされている立位であった。
 3)2007年(平成19年)頃から、グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔、特に立位で実施することの危険性について、医療安全情報などで注意喚起されているが、担当看護師はその事を知らなかった。

 

4.医療事故の程度
レベル3b 濃厚な処置や治療を要した(傷害としては一過性のもの)

 

5.再発防止策
 1)医療安全情報を院内に再配信し、立位での浣腸の危険性を周知した。
 2)浣腸実施時の注意点をまとめ、看護手順を改訂し看護職員に周知した。
 3)慢性便秘症に対する、より安全な排便コントロールの方法を引き続き検討している。

 

6.現在の状況
自宅療養中であり、定期的に当院の外来で経過観察中。



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