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経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)

心房細動による心原性脳塞栓症

心房細動によって引き起こされる疾患として、心原性脳塞栓症があります。
心房細動では左心房が小刻みかつ不規則に拍動することで心房内の血液によどみが出来てしまいます。血液のよどみにより心房内に血栓が生じます。その血栓が心臓から浮遊して脳の血管に詰まることで脳梗塞を発症します。心房細動を有する患者は脳卒中のリスクが心房細動の無い患者の約5倍もあると言われております。元巨人軍の長嶋茂雄さんや小渕恵三元首相などもこの心房細動による脳塞栓を来したことで知られております。
血栓予防のため抗凝固薬の内服が必要となります。しかし、高齢や併存疾患のため、抗凝固療法により重篤な出血性合併症を来す症例も少なくありません。

経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)

心房細動により生じる血栓の90%以上が、左心耳と呼ばれる左心房の中の袋のようになっている箇所に形成されます。経皮的左心耳閉鎖術とは、この左心耳を閉鎖栓により閉鎖することで血栓の形成を防ぎ、脳卒中を予防するカテーテル治療です。また、本治療を行う事で抗凝固薬の内服を中止することが出来るため、出血性合併症のリスクを大幅に軽減する事が可能となります。
当科では2021年4月に施設認定を取得し、多くの患者さんに治療を行っております。

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経皮的左心耳閉鎖術の適応患者

WATCHMANは非弁膜症性心房細動の患者さんで脳卒中予防のための抗凝固薬の内服が勧められるにもかかわらず、出血のリスクが高く長期間の内服が困難な患者さんが適応になります。具体的には、大きな出血歴がある、転倒をすることが多い、併存疾患が多い、複数の血をさらさらにする薬の服用が必要、などが挙げられます。また、抗凝固薬を内服しているにもかかわらず脳梗塞を起こした方や、何らかの理由で抗凝固薬を定期的に内服することが難しい方は、脳卒中のリスクが高いため、WATCHMANの植え込みが推奨されます。

左心耳閉鎖術(WATCHMAN)適応患者

使用目的:
非弁膜症性心房細動患者のうち、以下の3つの項目すべてに該当する、 左心耳に起因する血栓塞栓症のリスクを低減する目的で使用する。

  • CHADS2又はCHA2DS2-VAScスコアに基づく脳卒中および全身性塞栓症のリスクが高く、抗凝固療法が推奨される患者
  • 短期的 (45日間程度)にはワルファリン投与が適応可能と事前に医師により判断されている患者
  • 抗凝固療法を長期間実施できない医学的に妥当な理由を有する患者 (HAS-BLEDスコア3点以上の出血リスクが高い患者等)

ご紹介先

治療担当医師 循環器内科 尾原義和 吉村由紀 外来 月曜午前・午後
不明な点は地域医療連携室までお気軽にお問い合わせください。
地域医療連携室 TEL 088-837-6700