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医療事故の包括的公表について(H26.10.1~H27.3.31)及び個別公表について
2015/06/05
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故の包括的公表について
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故公表基準(平成19年1月1日制定)に基づき、平成26年10月1日から平成27年3月31日までの間に高知医療センターで発生した医療事故について、次のとおり包括して公表します。
なお、医療事故の定義は、公表基準において次のとおり定めています。
医療事故とは、過失の有無を問わず、医療にかかわる場所で医療の全過程において発生した全ての人身事故をいいます。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もあります。また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、その後の観察も不要であった場合も含まれます。
医療事故に係る事例は、医療安全対策を進める上で貴重なデータであるとともに、再発防止に向けての第一歩であることから、職員には積極的に報告するよう指導しています。
医療事故の再発防止に向けて、医療安全管理センターでは、職員から報告された全ての事例について分類・分析するとともに、医療安全管理委員会による事例の評価と再発防止策の検討を経て、対応策等を職員に周知しています。
また、毎月1回の全職員を対象とした医療安全管理委員会主催の医療安全についての研修会や、入院フロアにおける医師・看護師等によるカンファレンスの開催など、職員間の情報の共有と安全対策に取り組んでいます。
(1) レベル別医療事故の件数(平成26年10月1日~平成27年3月31日)
(2) 概要及び改善策
医療事故の個別公表
不整脈の発見遅れによる低酸素脳症
<概要>
1.患者
県内在住の80代女性
2.経過
- 心筋症等の治療目的で救命救急センターCCUに入院。
- 心電図モニターでの監視となっていたが、担当看護師が他の処置準備のため病室を離れて天井モニターでの監視に切り換えた。
- 天井モニターの異常波形に気付き訪室するとPEA(無脈性電気活動)の状態であった。
- 直ちに心臓マッサージを施行し、約3分後に心拍再開したが、低酸素脳症を発し、自発呼吸はあるが意思疎通は図れない状態となった。
- その後、集中治療管理の下、リハビリを開始していたが脳梗塞を併発し、原疾患の病状悪化も伴い、亡くなられた。
3.原因
天井モニターの異常波形の発見遅れ(異常波形発生から処置開始まで6~7分要した。)。
4.医療事故の程度
レベル4b 低酸素脳症により、意思疎通が図れない状態となった。
5.再発防止策
- セントラルモニターを導入し、一括監視できるシステムとした。
- スタッフ間の連携による監視の継続
麻酔薬(プロポフォール)の急速過剰投与による一時心肺停止
<概要>
1.患者
県内在住の60代女性
2.経過
- 血液疾患の治療目的で入院中の患者さんが、呼吸状態悪化のため、人工呼吸器管理目的で救命救急センターに移動。
- 気管内挿管のための鎮静用に点滴セットされたプロポフォール(50ml)を輸液ポンプから外し、クレンメ(滴下調整器具)の操作により麻酔用の注射器に10ml吸引し、静脈内投与した。
- 気管内挿管実施直後に血圧が低下したため、点滴を確認すると、輸液ポンプが外れたままで、かつ、クレンメも閉じられてなかったため、残りのプロポフォール(40ml)が全量投与されていた。
- 直ちに昇圧剤を投与したが、頚動脈触知不可の状態となったため、心臓マッサージ を施行。
- 約2分後に心拍再開し、約1時間後に意識が回復した。
- 後遺症もなく、原疾患の治療を継続し、転院。
3.原因
4.医療事故の程度
レベル 3b 一時的に濃厚な処置を施したため
5.再発防止策
- 点滴ルートの指さし呼称での確認
- 麻酔用と鎮静用の薬剤の使い分けの徹底
- ダブルチェックの徹底
気管内挿管時における異物(シリコンチューブ)の迷入
<概要>
1.患者
県内在住の10代男性
2.経過
- 交通事故による多発外傷で救急搬送され、気管内挿管、気管支鏡、胸腔ドレーン挿入などの緊急手術を実施。
- 術後確認のため、気管支鏡を実施したところ、気管支内に異物の存在を確認。
- 後日、気管支鏡にて回収したところ、気管内挿管時に使用したチューブガイドエクスチェンジャーと滅菌器具を接続するアダプター用のシリコンチューブ(長さ2.5cm)であった。
3.原因
本来ディスポ製品であるチューブガイドエクスチェンジャーを、滅菌して再利用していた。
4.医療事故の程度
レベル 3b 気管支鏡の実施のため。
5.再発防止策
- チューブガイドエクスチェンジャーの再利用の中止
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故公表基準
1 目的
高知医療センターで発生した医療事故の内容や原因、改善策等を自ら公表することにより、病院運営及び医療の透明性を高め、県民・市民からの医療に対する信頼と医療の安全管理に資することを目的とする。
2 用語の定義
「医療事故」とは、過失の有無を問わず、医療に関わる場所で医療の全過程において発生した全ての人身事故をいう。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もある。
また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、また、その後の観察も不要であった場合を含む。
「医療過誤」とは、医療の過程において医療従事者が当然払うべき業務上の注意義務を怠るなど、明らかに誤った医療行為又は管理上の過失に起因して発生した医療事故をいう。
3 医療事故等の患者さんへの影響レベル
医療事故の発生により生じた影響の大きさに応じて、そのレベルを次の表のとおり設定する。
4 公表する医療事故の基準
次のいずれかに該当する医療事故が発生した場合、これを公表する。
- 全ての事例について、包括的に公表する。
- 上記のうち、医療過誤又は過失の疑いのある医療事故により、患者さんが死亡した事例、傷害の程度が高度である事例及び傷害の程度は中等度で傷害の継続性が永続的な事例については、個別に公表する。
- 上記(1)の場合であっても、社会的影響を考慮のうえ、病院長が必要と認める場合については個別に公表する。
5 公表の内容
公表する内容は、原則として次の項目とする。
(1) 包括的公表
- ア 事故の件数
- イ 代表的な事例の概要
- ウ 改善策
- エ その他、必要と思われる事項
(2) 個別公表
- ア 事故の概要(事故発生日時、場所、状況、原因)
- イ 当該関係者の情報
- ウ 今後の対策と改善策
- エ その他、必要と思われる事項
6 公表の手順
公表に際しては、病院長が事前に公表事項等について企業長と協議し、次により行う。
- 公表は、1年を上半期と下半期に分け、半期ごとに公表する。
- 前号の公表は、直近の企業団議会で行うとともに、ホームページ上に掲載する。
- 前2号の規定にかかわらず、社会的影響を考慮し、病院長が必要と認める事例については、直ちに公表する。
7 患者さん及びご家族等への配慮
- 個別公表に当たっては、事前に患者さん及びご家族等に十分説明を行い、同意を得ることを原則とするが、同意が得られない場合等においても、自治体病院としての社会的な説明責任を果たすために必要な範囲で公表する。
- 公表する内容は、患者さんやご家族が特定されることのないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行う。
附則
この基準は、平成19年1月1日から適用する。
附則
この基準は、平成24年2月26日から適用する。
附則
この基準は、平成27年5月27日から適用する。