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医療事故の個別公表(H30.11.26)について
2018/11/30
医療事故の個別公表
ICD(植え込み型除細動器)の不適切作動により除細動を起こした
<概要>
1.患者
50代 男性
2.経過
- 心室頻拍に対して植え込み型除細動器(以下「ICD」という。)を植え込まれた患者さんが、ICD作動で救急外来を受診した。心房細動の頻脈に対しICDが不適切作動し、意識下に21回の除細動治療が行なわれていた。
- 緊急入院後ICDの設定変更を行い、翌日退院した。その後、不適切作動は起っていないが、外来受診時にICD不適切作動後からの体調不良と精神的苦痛を訴えられた。
3.検討内容
- ICD解析、第三者評価などをもとに、医療事故調査委員会を(3回)実施した。ICD機器本体に異常はなく、合併症として不適切作動は起こり得る(年間1~2.5%の報告あり)。
- 昨年、外来フォロー中に心房細動が慢性化したため設定を変更し、心房感度を鈍くし電池の消耗を抑える設定にした。これにより、不適切作動が起りやすい状態になっていた。
- 設定変更時に、患者さんに対し変更の理由や生活指導などの説明が十分でなかった。
- 設定変更後に外来受診した時、解析結果から非持続性心室頻拍が増加していることが分かり、不適切作動のリスクが高くなっている事が推察されるが、問題なしと判断し、設定変更などの検討をしなかった。
- 設定自体は誤りではなく許容範囲だったが、薬剤調整や患者さんへの生活指導を行い、頻脈が発生しないようにすることで、ICDの不適切作動が防げた可能性があったと判断した。
- ICD不適切作動で一泊入院され、退院時に今回の状況について、患者さんへの説明が不十分だったため、その後の体調不良や精神的苦痛を増強させてしまう結果になった。
- ペースメーカー外来の診療において、医師と医療機器メーカーの協同、連携ができていなかった。
4.医療事故の程度
レベル 3b 濃厚な処置や治療を要した(緊急入院)
5.再発防止策
- 当該診療科(循環器内科)の診療体制を検討し、ペースメーカー外来に臨床工学士を派遣し、フォロー体制を整備した。
- ICD植え込み時から、病棟・外来での説明と同意を、パンフレット等を用いて計画的に実施し、記録に残し多職種で共有、連携して診療を行う。
6.現在の状況
当院ペースメーカー外来で薬剤調整と併用しながらフォロー中。