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医療事故等の包括的公表について(H22.10.1~H23.3.31)

高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故等の包括的公表について

「高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故等公表基準」に基づき、平成22年10月1日から平成23年3月31日までの間に高知医療センターで発生した医療事故を、次のとおり包括して公表します。
 なお、医療事故等の定義は公表基準において、次のとおり定めています。
 医療事故等とは、医療にかかわる場所で医療の全過程において発生した全ての人身事故を包含しています。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もあります。
 また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、また、その後の観察も不要であった場合の事例についても含まれます。
 これらの事例は、医療安全対策を進めるうえで貴重なデータであるとともに、再発防止に向けての第一歩であることから、職員には積極的に報告するよう指導しています。
 医療事故の再発防止に向けて、医療安全管理センターでは、職員から報告されたすべての事例について分類・分析するとともに、医療安全管理委員会による事例の評価と再発防止策の検討を経て、対応策等が職員に周知されています。
 また、毎月1回の全職員を対象とした医療安全管理委員会主催の医療安全についての研修会や、入院フロアにおける医師・看護師等によるカンファレンスの開催など、職員間の情報の共有と安全対策に取り組んでいます。

(1)レベル別医療事故の件数(平成22年10月1日~平成23年3月31日)
レベル区分 患者さんへの影響 件数 (構成比%)
1 ・身体には影響なかった場合 797 (77.60)
2 ・検査や処置の必要性が生じた場合 221 (21.52)
3 ・予定してなかった処置、治療や入院日数の増加が必要になった場合 8 (0.78)
4 ・高度の障害が発生した場合(影響が重篤で長期にわたる)、また、死期を早めた場合 1 (0.10)
5 ・死亡した場合 0 (-)
合計 1,027 (100%)
(2)概要及び改善策
種類 概要(代表的な事例) 改善策(再度起こさないための方策)
内服・外用
(24.1%)
飲み忘れ
  • 医薬品業務手順書の周知
  • 服薬管理アセスメントシートの活用
  • 指差し呼称の実施と周知
  • 看護業務マニュアルの見直し
与薬忘れ
量の間違い
注射
(20.2%)
点滴の自己抜去
  • 医薬品業務手順書の周知
  • 患者さんの状況アセスメントと適切な対応
  • 指差し呼称の実施と周知
  • 可能な限り早期に持続点滴を抜去
注射忘れ
点滴速度違い
手術・処置
(18.3%)
ドレーン・チューブの自己抜去
  • 尿道カテーテル抜去の推進(アセスメントシートの活用)
  • 各勤務での固定確認(特に、体位変換時における固定位置、固定テープの状態の確認)
  • 患者さんの状況アセスメントと適切な対応
ドレーン・チューブの事故抜去
転倒・転落
(19.4%)
バランスを崩す
  • 転倒・転落リスクについて患者さん、ご家族、職員間での情報共有と連携の強化
  • 転倒・転落防止器具の有効活用
  • 意図的な療養環境の整備
  • 患者さんの排尿間隔を把握した排尿誘導・介助
  • 転倒・転落防止用具の配置(5本足の点滴台)
自分でやろうとする
(トイレに行こうとした。ベットから降りようとした。)
不穏
検査
(5.8%)
検査忘れ
  • 患者さんへの検査説明の徹底
  • 看護ワークシート、患者スケジュールでの予定検査確認の徹底
  • 検査オーダの確認の徹底
  • オーダ変更時の連絡の徹底
検体取り違い
機器・器具
(0.7%)
取り扱い間違い
  • 看護者の機器・器具取り扱い学習会の実施
  • 輸液ポンプ、シリンジポンプの使用マニュアルの徹底
  • 使用前点検、定期点検の徹底
使用中故障
その他
(11.5%)
損傷
  • 皮膚排泄ケア認定看護師と情報共有し、ラウンドの実施
  • 適切な剥離剤の使用
  • 弾性ストッキング適正使用にかかる研修会の開催

高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故等の包括的公表について

1.目的

高知医療センターで発生した医療事故の内容や原因、改善策等を自ら公表することにより、病院運営ならびに医療の透明性を高め、県民・市民からの医療に対する信頼と医療の安全管理に資することを目的とする。

2.用語の定義

医療事故等
「医療事故等」とは、医療にかかわる場所で医療の全過程において発生したすべての人身事故を抱含する。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もある。  また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、また、その後の観察も不要であった場合(いわゆる「インシデント」)の事例についても含む。 「医療過誤」とは、医療の過程において医療従事者が当然払うべき業務上の注意義務を怠るなど、明らかに誤った医療行為又は管理上の過失に起因して、患者さんに障害を及ぼした医療事故をいう。

3.医療事故等の患者さんへの影響レベル

医療事故等の発生により生じた影響の大きさに応じて、そのレベルを以下のとおり設定する。

レベル 患者さんへの影響
レベル1 ●身体には影響がなかった場合
レベル2 ●検査や処置の必要性が生じた場合
レベル3 ●予定してなかった処置、治療や入院日数の増加が必要になった場合
レベル4 ●高度の障害が発生した場合(影響が重篤で長期にわたる)、また死期を早めた場合
レベル5 ●死亡した場合
4.公表する医療事故の基準

次のいずれかに該当する医療事故等が発生した場合、これを公表する。
(1)すべての事例について、包括的に公表する。
(2)上記のうち医療事故等レベル4~5に相当する過失(医療過誤)、又は過失の疑いのある医療事故は、個別に公表する。
(3)上記(1)の場合であっても、社会的影響を考慮のうえ、病院長が必要と認める場合については個別に公表する。

5.公表の内容

公表する内容は、原則として次の項目とする。
(1)包括的公表
ア 事故の件数
イ 概要
ウ 改善策
エ その他、必要と思われる事項


(2)個別公表
ア 事故の概要(事故発生日時、場所、状況、原因)
イ 当該関係者の情報
ウ 今後の対策と改善策
エ その他、必要と思われる事項

6.公表の手順

公表に際しては、病院長が事前に公表事項等について企業長と協議し、次により行う。
(1)包括的公表は、年2回、ホームページ上に掲載する。
(2)個別公表は、原則として医療事故発生後、病院長が速やかに行う。

7.患者さん及びご家族等への配慮

(1)個別公表に当たっては、原則として、事前に患者さん及びご家族等に十分説明を行い、同意を得たうえで行う。
ただし、公表について患者さん及びご家族の同意が得られない場合においても、自治体病院として社会的な説明責任を果たすため、簡易な内容で公表するものとする。
(2)公表する内容から、患者さんやご家族が特定、識別されないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行う。

8.警察への届出

患者さんが医療事故により死亡した場合で、過失又は過失の疑いのある事故については、事前にそのご家族等に説明を行い、病院長が速やかに所轄警察署に届出を行う。


附則
この基準は、平成19年1月1日から適用する。