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医療事故の包括的公表(H28.10.1~H29.3.31)及び個別公表について
2017/08/07
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故の包括的公表について
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故公表基準(平成19年1月1日制定)に基づき、平成28年10月1日から平成29年3月31日までの間に高知医療センターで発生した医療事故について、次のとおり包括して公表します。
なお、医療事故の定義は、公表基準において次のとおり定めています。
医療事故とは、過失の有無を問わず、医療にかかわる場所で医療の全過程において発生した全ての人身事故をいいます。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もあります。また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、その後の観察も不要であった場合も含まれます。
医療事故に係る事例は、医療安全対策を進める上で貴重なデータであるとともに、再発防止に向けての第一歩であることから、職員には積極的に報告するよう指導しています。
医療事故の再発防止に向けて、医療安全管理センターでは、職員から報告された全ての事例について分類・分析するとともに、医療安全管理委員会による事例の評価と再発防止策の検討を経て、対応策等を職員に周知しています。
また、毎月1回の全職員を対象とした医療安全管理委員会主催の医療安全についての研修会や、入院フロアにおける医師・看護師等によるカンファレンスの開催など、職員間の情報の共有と安全対策に取り組んでいます。
(1) レベル別医療事故の件数(平成28年10月1日~平成29年3月31日)
(2) 概要及び改善策
※構成比は端数計算の関係上、合計が100%とはなりません。
医療事故の個別公表
腹腔鏡下での胃切除術後1年の定期健診時に腹腔内のドレーン遺残が判明
<概要>
1.患者
県内在住の80代 男性
2.経過
- 早期胃癌にて腹腔鏡下で胃切除術を施行。術後経過は特に問題なく、第5病日に腹腔ドレーン抜去、第16病日に紹介元病院に転院。同病院退院後は、当院外来を定期通院。
- 術後1年の定期受診時に撮影した腹部CTにて、骨盤底から臍下に線状異物を確認し、ドレーン遺残と判明。手術時に留置した腹腔内のドレーン2本のうち1本が腹腔内に脱落し、遺残したものと考えられた。
- 手術入院中において、ドレーン抜去前の第1、第3病日の腹部単純X線撮影では、ドレーンの位置に異常を認めていない。担当医が第5病日にドレーン抜去を施行したが、そのときに1本であったか2本であったかはっきり記憶にない。その後、第9、11病日に腹部単純X線撮影を施行しており、そのとき腹腔内に残留したドレーンが骨盤底部左側に描出されているが気づかず。
- 当院外来通院に至るまで、ドレーン遺残に伴うと考えられる症状なし。術後半年時点で施行した腹部骨盤CTにて、右骨盤底に線状の構造物が描出されており、放射線科にて異物の疑いあるとの記載があったが、外来主治医はその記載および画像所見に気づかなかった。
- ドレーン遺残の経緯について患者さんとご家族への説明をし、手術によるドレーンの摘出の方針とした。
3.原因
- 術中にドレーンの固定が十分でなかった可能性あり。
- 術後第5病日の抜去時に2本留置していたことを確認せず、1本のみ抜去した。
- その後の腹部単純X線撮影、CTにてドレーンと考えられる線状陰影の見落とし。
4.医療事故の程度
医療事故の程度 レベル3b
一時的に濃厚な措置を施したため
5.再発防止策
- ドレーンの確実な固定と確認、抜去時に留置ドレーン本数の確認の実施。
- 画像撮影、診断結果の確認と連携について院内のルールを決め職員に周知徹底。
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故公表基準
1 目的
高知医療センターで発生した医療事故の内容や原因、改善策等を自ら公表することにより、病院運営及び医療の透明性を高め、県民・市民からの医療に対する信頼と医療の安全管理に資することを目的とする。
2 用語の定義
「医療事故」とは、過失の有無を問わず、医療に関わる場所で医療の全過程において発生した全ての人身事故をいう。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もある。
また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、また、その後の観察も不要であった場合を含む。
「医療過誤」とは、医療の過程において医療従事者が当然払うべき業務上の注意義務を怠るなど、明らかに誤った医療行為又は管理上の過失に起因して発生した医療事故をいう。
3 医療事故等の患者さんへの影響レベル
医療事故の発生により生じた影響の大きさに応じて、そのレベルを次の表のとおり設定する。
4 公表する医療事故の基準
次のいずれかに該当する医療事故が発生した場合、これを公表する。
- 全ての事例について、包括的に公表する。
- 前号の事例のうち、医療過誤又は過失の疑いのある医療事故により、患者さんが死亡した事例、傷害の程度が高度である事例及び傷害の程度は中等度で傷害の継続性が永続的な事例については、個別に公表する。
- 前号に掲げる事例のほか、社会的影響を考慮の上、病院長が必要と認める事例については、個別に公表する。
5 公表の内容
公表する内容は、原則として次の項目とする。
(1) 包括的公表
- ア 事故の件数
- イ 代表的な事例の概要
- ウ 改善策
- エ その他、必要と思われる事項
(2) 個別公表
- ア 事故の概要(事故発生日時、場所、状況、原因)
- イ 当該関係者の情報
- ウ 今後の対策と改善策
- エ その他、必要と思われる事項
6 公表の手順
公表に際しては、病院長が事前に公表事項等について企業長と協議し、次により行う。
- 公表は、1年を上半期と下半期に分け、半期ごとに公表する。
- 前号の公表は、直近の企業団議会で行うとともに、ホームページ上に掲載する。
- 前2号の規定にかかわらず、社会的影響を考慮し、病院長が必要と認める事例については、直ちに公表する。
7 患者さん及びご家族等への配慮
- 個別公表に当たっては、事前に患者さん及びご家族等に十分説明を行い、同意を得ることを原則とするが、同意が得られない場合等においても、自治体病院としての社会的な説明責任を果たすために必要な範囲で公表する。
- 公表する内容は、患者さんやご家族が特定されることのないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行う。
附則
この基準は、平成19年1月1日から適用する。
附則
この基準は、平成24年2月26日から適用する。
附則
この基準は、平成27年5月27日から適用する。