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医療事故の包括的公表(H28.4.1~H28.9.30)及び個別公表について
2017/01/25
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故の包括的公表について
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故公表基準(平成19年1月1日制定)に基づき、平成28年4月1日から平成28年9月30日までの間に高知医療センターで発生した医療事故について、次のとおり包括して公表します。
なお、医療事故の定義は、公表基準において次のとおり定めています。
医療事故とは、過失の有無を問わず、医療にかかわる場所で医療の全過程において発生した全ての人身事故をいいます。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もあります。また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、その後の観察も不要であった場合も含まれます。
医療事故に係る事例は、医療安全対策を進める上で貴重なデータであるとともに、再発防止に向けての第一歩であることから、職員には積極的に報告するよう指導しています。
医療事故の再発防止に向けて、医療安全管理センターでは、職員から報告された全ての事例について分類・分析するとともに、医療安全管理委員会による事例の評価と再発防止策の検討を経て、対応策等を職員に周知しています。
また、毎月1回の全職員を対象とした医療安全管理委員会主催の医療安全についての研修会や、入院フロアにおける医師・看護師等によるカンファレンスの開催など、職員間の情報の共有と安全対策に取り組んでいます。
(1) レベル別医療事故の件数(平成28年4月1日~平成28年9月30日)
(2) 概要及び改善策
※構成比は端数計算の関係上、合計が100%とはなりません。
医療事故の個別公表
内視鏡による処置の際の鎮静中に一時心肺停止
<概要>
1.患者
県内在住の70代 男性
2.経過
- ERCP(内視鏡的逆行性胆膵管造影)のため、前処置のペンタジンとプロポフォールで鎮静を開始。
- 心電図モニター装着しバイタルチェックしながら、静脈麻酔薬のプロポフォールを、持続投与と併用で2mlずつフラッシュし、鎮静状態を確認していた。
- 鎮静が十分にかかっていない状態で、モニターでの心拍数が20~30台に低下したため、プロポフォール投与を中止し、硫酸アトロピン投与、アンビューマスク13Lの酸素投与を行った。しかし、心電図モニター上波形がはっきりせず、心肺停止(PEA:無脈性電気活動)と判断。
- 直ちに心肺蘇生を行い、心拍数、血圧ともに回復したが、麻酔の影響もあり意識レベルがはっきりしないため、集中治療室で全身管理となった。
3.原因
- 消化器内科における内視鏡治療(ERCP:内視鏡的逆行性胆膵管造影、ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術など患者への侵襲が大きい治療)時にプロポフォールの使用。
- 多量(総投与量50.4ml)投与。
- 呼吸状態が観察しにくい状況。
- 患者の体型や検査時の体位による胸部圧迫の影響も考えられる。
4.医療事故の程度
レベル3b
一時的に濃厚な措置を施したため
5.再発防止策
- 消化器内科でのプロポフォール静脈麻酔薬を他剤に変更。
- ハイリスク患者をアセスメントし、手術室の麻酔科医師の管理下による内視鏡治療の実施。
- 呼吸モニタリング機器の導入。
吸入抗菌剤を誤って静脈内に急速投与しての一時心肺停止
<概要>
1.患者
県内在住の70代 女性
2.経過
- 抗菌剤の「ベナンバックス」を、吸入で投与する予定であった。
- 看護師は注射処方箋と指示内容を確認したが、ベナンバックスを静脈注射で投与だと理解し、処置を実施した。
- 患者は喉の違和感を訴え、ショック状態となった。
- コードブルーで医師が接触時には、PEA(無脈性電気活動)であった。
- 心肺蘇生、アドレナリン静注にて心拍再開、意識回復しバイタルも安定。その後、集中治療室管理となった。
- 患者は蘇生処置時に肋骨骨折を来したが、その後の臓器障害、低酸素脳症の症状は見られず、呼吸循環に問題はなく、2日後に集中治療室から一般病棟へ転棟した。
3.原因
- システムの不備並びに運用方法の周知不足
- 医療者間のコミュニケーション(確認や相談等)不足
4.医療事故の程度
レベル3b
一時的に濃厚な措置を施したため
5.再発防止策
- ベナンバックス吸入のオーダー方法を改善し、院内Webや研修会での周知徹底。
- 指示出し・指示受けのルール遵守と確認の徹底。
- 与薬業務の手順遵守と確認の徹底。
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター医療事故公表基準
1 目的
高知医療センターで発生した医療事故の内容や原因、改善策等を自ら公表することにより、病院運営及び医療の透明性を高め、県民・市民からの医療に対する信頼と医療の安全管理に資することを目的とする。
2 用語の定義
「医療事故」とは、過失の有無を問わず、医療に関わる場所で医療の全過程において発生した全ての人身事故をいう。医療事故には、患者さんだけでなく、職員が被害者の場合もある。
また、患者さんには実施されたが、結果として患者さんに被害がなく、また、その後の観察も不要であった場合を含む。
「医療過誤」とは、医療の過程において医療従事者が当然払うべき業務上の注意義務を怠るなど、明らかに誤った医療行為又は管理上の過失に起因して発生した医療事故をいう。
3 医療事故等の患者さんへの影響レベル
医療事故の発生により生じた影響の大きさに応じて、そのレベルを次の表のとおり設定する。
4 公表する医療事故の基準
次のいずれかに該当する医療事故が発生した場合、これを公表する。
- 全ての事例について、包括的に公表する。
- 前号の事例のうち、医療過誤又は過失の疑いのある医療事故により、患者さんが死亡した事例、傷害の程度が高度である事例及び傷害の程度は中等度で傷害の継続性が永続的な事例については、個別に公表する。
- 前号に掲げる事例のほか、社会的影響を考慮の上、病院長が必要と認める事例については、個別に公表する。
5 公表の内容
公表する内容は、原則として次の項目とする。
(1) 包括的公表
- ア 事故の件数
- イ 代表的な事例の概要
- ウ 改善策
- エ その他、必要と思われる事項
(2) 個別公表
- ア 事故の概要(事故発生日時、場所、状況、原因)
- イ 当該関係者の情報
- ウ 今後の対策と改善策
- エ その他、必要と思われる事項
6 公表の手順
公表に際しては、病院長が事前に公表事項等について企業長と協議し、次により行う。
- 公表は、1年を上半期と下半期に分け、半期ごとに公表する。
- 前号の公表は、直近の企業団議会で行うとともに、ホームページ上に掲載する。
- 前2号の規定にかかわらず、社会的影響を考慮し、病院長が必要と認める事例については、直ちに公表する。
7 患者さん及びご家族等への配慮
- 個別公表に当たっては、事前に患者さん及びご家族等に十分説明を行い、同意を得ることを原則とするが、同意が得られない場合等においても、自治体病院としての社会的な説明責任を果たすために必要な範囲で公表する。
- 公表する内容は、患者さんやご家族が特定されることのないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行う。
附則
この基準は、平成19年1月1日から適用する。
附則
この基準は、平成24年2月26日から適用する。
附則
この基準は、平成27年5月27日から適用する。