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患者さんへの同意のお願い
患者さんへの同意のお願い
-診療に伴い発生する試料(診療情報及び血液や組織等) の臨床研究等への利用について-
1.はじめに
当院では最新最良の医療を患者さんに提供すると同時に、臨床研究等の医学研究にも尽力しています。日常の診療に伴い発生する試料(電子カルテの診療情報や診断、治療目的で採取された血液や組織等、以下試料と呼ぶ)は、診療上不要となった場合でも、臨床研究のための貴重な資料となります。当院では、これらの試料を有効に利用し臨床研究を行うことにより、医学の発展のために貢献していきたいと考えています。
2.自由意志による研究への参加および拒否
診療に伴い発生した試料を臨床研究に利用する際には、患者さんから同意を頂く必要があります。これから未来にわたって臨床研究を行う場合は、患者さんに説明し同意を取得することはできますが、過去のそれら試料を利用する研究では、患者さんから直接同意を取得することが困難な場合が多くなります。当院では、国の指針「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に準じて、直接同意を取得することが困難な場合はその臨床研究に関する情報を公開しております。患者さんが診療を受けるにあたり、不同意の意思表示がない場合には、原則として同意がされたものとしてそれら試料等を臨床研究に利用させて頂きます。なお、臨床研究は自由に実施できるわけではなく、必ず研究の目的、倫理性、計画内容などについて高知医療センター臨床研究審査委員会において厳格に審議し実施の可否が判定されるようにしています。また、試料の遺伝子検査や他施設と共同で行う研究については、別途審理いたします。なお、不同意の意思表示をされる場合には、「試料及び診療情報等の臨床研究等への利用に関する不同意書」に必要事項を記入のうえ提出してください。不同意の場合においても、診療に一切不利益を与えることはありません。
3.個人情報の保護と臨床研究の公開
臨床研究に利用するこれらの試料等は、すべて患者さん個人が特定されないように匿名化して取り扱いますので、個人情報が外部に漏れることはありません。また、臨床研究によって得られた成果等が学術集会や科学専門雑誌で発表される場合においても、個人が特定されることはありません。なお、当院のホームページにおいて、臨床研究の概要を公開していますが、その際においても個人が特定されることはありません。
4.最後に
当院は、医学、医療の発展に貢献する施設として、今後も努力を続けてまいります。以上の趣旨についてご理解とご協力をお願い申し上げます。
利益相反(Conflict of Interest:COI)について
当院では、臨床研究が科学性、倫理性に加えて利益相反の観点より適正に実施されるように、「高知医療センター利益相反委員会」を設置し、利益相反事案のマネジメントを行っています。
利益相反とは、臨床研究等において、製薬企業等からの資金提供によって実施された研究結果の判断が、資金提供元の企業にとって有利になり、患者さんや被験者の利益を保護する研究者や研究機関の責任に不当な影響を与えるような、相互の利害の対立状況を指します。
オプトアウトとは?
通常、臨床研究を実施する際は、患者さんお一人おひとりに文書もしくは口頭で説明、同意を得て実施します。ただし、臨床研究のうち、患者さんに対して血液検査や薬の処方などなくカルテでの診療情報のみを用いる研究等については国が定めた指針に基づき、お一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究目的などを対象者に通知または公開し、研究が実施、継続されることについて、研究対象者が拒否できる機会を保障することが必要とされています。このような研究手法をオプトアウトといいます。なお、研究への協力を希望されない場合は、「まごころ窓口」を通して各研究の研究責任者までお知らせください。
承認された臨床研究
学会や論文で調査結果を公表する製造販売後調査について
製造販売後調査 (Post-Marketing SurveillanceまたはPMS) は、医薬品や医療機器の販売が承認されて市場で使用されたのちに安全性を監視する手法の一つです。承認を受けた製造販売業者は、原則として8年間、該当医薬品の使用の成績について調査し再度有効性と安全性を確認するという再審査制度が義務付けられ、厚生労働省の指示のもと製造販売業者(製薬会社や医療機器メーカー)が医療機関を対象に調査し、その内容を厚生労働省に報告しなければなりません。
なお、国への報告義務と併せて同意書無しで製造販売業者が学会や論文などで広く公表する場合がありますが、患者個人を特定する情報(イニシャル、年齢、生年月日、患者識別番号)が公表されることはありません。
製造販売後調査の種類と目的
調査の種類 | 調査の目的 | 当院の審議方法 | 備考 |
---|---|---|---|
使用成績調査 | 幅広い患者を対象とした調査 | 書類審査 | 一般調査と特定調査 |
製造販売後データベース調査 | 医療情報データベースを用いた調査 | 臨床研究審査委員会 | 電子カルテデータ、DPCデータ、診療報酬明細書、疾患登録データなど |
製造販売後臨床試験 | 治験や使用成績調査の成績をもとに得られた推定事項などの検証 | 治験審査委員会 | 治験では分からなかった製品の効果や副作用を発見したい場合 |
オプトアウトの対象となる製造販売後調査
治験とは?
「くすりの候補」は厚生労働省の承認を得て初めて「くすり」として認められます。病院で使われたり薬局で販売されたりしている「くすり」は、このようにして認められた「くすり」です。
ひとつの「くすり」が誕生するには、9~17年もの長い研究開発期間を必要とします。その間、さまざまなテストをくりかえし、効き目の確認と安全性の評価が行われます。しかし、試験管の中や動物を用いた実験を繰り返しただけでは「くすり」として使用できません。動物では有効でも“ヒト”には効き目がなかったり、有害な作用を引き起こしたりすることがあるからです。
そこで、臨床試験といわれる“ヒト”で有効性と安全性を調べる試験をしなければなりません。この臨床試験の中でも厚生労働省に「くすり」として認めてもらうために行われる試験を「治験」といいます。
臨床研究とは?
医療における疾病の予防方法、診断方法および治療方法の改善や疾病の原因および病態の理解ならびに患者さんの生活の質の向上を目的として実施される医学系研究を「臨床研究」といいます。当院においては、医療の発展のために「臨床研究」に積極的に取り組んでいますが、研究によっては患者さんの診療情報を利用させて頂く場合もあり、実施する際には研究内容について「臨床研究審査委員会」にて倫理的な面からも厳正に審査し、実施を許可するようにしています。また、「臨床研究」は、医師のみならず看護師、薬剤師、管理栄養士、医療技術の技師などの職員も自主的に取り組んでいます。
市販後調査とは?
市販後調査(PMS、Post Marketing Surveillanceの略)とは、販売が開始された医薬品の有効性・安全性の確認と、販売前の治験で得られなかった新たな作用・副作用に関する情報収集のために行われる調査の総称です。
具体的な調査の内容は、医薬品製造販売後の調査・試験・安全管理の基準を示した医薬品製造販売後調査・試験の実施の基準(GPSP:Good Post-marketing Study Practice)と医薬品製造販売後安全管理の基準(GVP:Good Vigilance Practice)の2つの省令に記載されています。市販後調査は大きく下記の3つに分類されます。
一般使用成績調査
医薬品を使用する者の条件を定めることなく行う調査をいいます。
特定使用成績調査
小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する者、医薬品を長期に使用する者、その他医薬品を使用する者の条件を定めて行う調査をいいます。
副作用調査(副作用・感染症報告)
(医薬品医療機器等法第68条の10に規定する)医薬品の副作用によるものと疑われる疾病及び医薬品の使用によるものと疑われる感染症の報告等をいいます。