循環器病センター医療チームの取り組み
循環器内科(循環器科)
当科は、主に成人の心臓血管病の診断、治療を受け持っています。我々のモットーは“全国レベルの治療を高知県で受けて頂く”です。
救急医療に対しては当科が扱う疾患は急性心筋梗塞や急性心不全などの重篤な救急疾患が多く、その診断や治療には迅速性が要求されます。当院は循環器内科医師が24時間常駐しており、救命救急科と連携を取り、適切な医療が提供できます。
虚血性心疾患に対しては年間300件の冠動脈インターベンションを施行しております。通常のステント治療はもとより、高度石灰化病変に対するロータブレーター、偏在性動脈硬化病変に対するDCA、血栓性病変に対するエキシマレーザーなどの治療も可能であり、症例毎に適切な治療を心がけています。
心臓弁膜症に対するカテーテル治療については、2015年より経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が開始され、多職種からなるハートチームと協力して、安全かつ効果的な治療を提供しております。また2019年5月からは、僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁クリップ術(マイトラクリップ)が開始されており、その治療範囲は広がっております。
不整脈領域に関してもカテーテルアブレーションに加えて、永久ペースメーカー留置、植え込み型除細動器、心室再同期療法などを積極的に行っております。
2021年4月からは経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)が開始され、多くの患者さんに治療を行っています。
ぜひ、循環器疾患でお困りの方は循環器内科にご相談ください。

(2)循環器外科(心臓血管外科)
(3)看護管理(外科系)
循環器病センターおだやか9Bフロアには、主に狭心症・心筋梗塞の虚血性心疾患、心臓の弁の病気の心臓弁膜症、先天性心疾患、心臓の脈の乱れによる不整脈、心臓腫瘍等、血管の病気では大動脈瘤をはじめとした動脈や静脈の病気で手術が必要となった患者さんが入院されています。予定された手術では、入院に向けての準備、術後は急性期を集中治療室で過ごされた後、病棟に戻ってこられます。集中治療室から早期のリハビリテーションを開始し、病棟では全身状態を観察しながら退院後の生活に沿った様々な指導とリハビリテーションを実施しています。思いがけず救急搬送され手術が必要となる患者さんは、手術を乗り越えられ全身状態が落ち着いたら病棟に転入となります。様々な思いをされた患者さんが心身共に回復できるよう、医師や薬剤師、栄養士やリハビリテーションのスタッフと共に多職種で連携を密に、常に患者さんを中心とした看護を展開できるよう心がけています。
(4)看護管理(内科系)
循環器病センターおだやか9Aフロアは、主に循環器科の患者さんが多く入院されています。虚血性心疾患、不整脈疾患、弁膜症、心筋疾患、心不全などに対して、心臓カテーテル検査、冠動脈インターベンション、カテーテルアブレーション、ペースメーカーや植込み型除細動器の移植術などが行われています。救急搬送された重症の患者さんは一旦は救命救急センターに入院となり厳重に管理されますが、そこで急性期を脱した患者さんは一般フロアに転入して来られます。私達は、この高度な医療を不安なく安心して受けられるように根拠に基づいたケアの提供に努めています。また、早期回復に向けて心臓リハビリテーションにも取り組んでいます。心臓リハビリテーション指導士の認定を受けた看護師が専従で勤務し、患者さんが安全に身体能力を回復し、より質の高い生活が維持できるように、多職種と連携を取りながら一日も早い退院を目指して医療チーム一丸となって日々努力しています。
(5)薬剤管理
薬剤局では、「“臨床薬剤師”として人に、社会に貢献できる薬学ケアサービスを実践する」ために、すべての入院フロアに薬剤師を常駐させています。
循環器病センターのある9階フロアでは、薬剤師がチームを組んで、次のような活動を行っています。
- 初回面談時には、持参されたお薬を把握し、服薬状況や当院処方との相互作用(飲み合わせ)などを確認しています。
- 患者さんのベットサイドに出向き、お薬の効能・効果、副作用、相互作用とともに、服薬の必要性やその目的などを説明して、ご自分のお薬に対する理解を深め、正しく服用できるようにお手伝いさせていただいています。
- 患者さんからのお薬に関する質問や不安にも対応し、安心してお薬を服用できるように努めています。
- 心臓病教室では、週に1回循環器のお薬の説明を行うとともに、食品との相互作用や退院後の服用方法、「お薬手帳」の活用などについてお話をさせていただいています。
循環器疾患には、治療上重要なお薬として、抗血栓薬や強心薬、不整脈薬など、使用上の注意が必要な薬が多く使われます。そのため薬剤師は、患者さんの治療がより効果的に行われることはもちろん、患者さんの安全管理、特に副作用や医薬品に関連する健康被害の防止のために活動しています。
今後も、医師、看護師、管理栄養士など他職種と連携しながら、患者さんの治療のお役に立てるように取り組んでいきたいと思います。
薬の説明と服薬指導:一人一人に対して専門家によるきめ細かい指導が提供されます。
(6)栄養管理
循環器病センターに常駐の管理栄養士が、患者さんの栄養管理を行っています。動脈硬化・狭心症・心筋梗塞は生活習慣病です。栄養食事指導を行い、食生活の改善から1次予防・2次予防につなげるよう働きかけています。心臓の手術の後には栄養補給が重要ですが、食欲不振や嚥下困難など食べにくくなる場合もあるため、患者さんや主治医と相談の上食事の調整などを行っています。心臓リハビリでは週に1回患者さん・ご家族を対象に集団栄養食事指導を行い、退院後の食生活について患者さん自身に改善ポイントを考えていただく手助けをしています。
病気の予防・治療には、食事療法・栄養管理が重要です。管理栄養士は、患者さんが1日も早くよくなるように、多職種と協力して関わっています。食事・栄養のことでご質問などありましたら、お気軽にお声掛けください。
(7)臨床工学チーム
臨床工学技士は現在、心臓外科手術時の人工心肺・IABP・PCPSなどの操作・心臓カテーテル治療・血液浄化治療および人工呼吸器などの機器管理業務を計15名で行い、24時間365日体制で循環器病センターにおける治療に携わっています。
近年、医療の進歩により循環器治療は、より安全でより身近な治療となってきました。しかし、新たに開発された治療や限られた施設でしか行えない治療も増えてきており専門的な教育を受けたスタッフによるチーム医療が必要不可欠となります。
このため、我々も個々のスペシャリティーを発揮するのはもちろん、チーム内での勉強会や意見交換、非常時の訓練を積極的に開催することで、いつでも質の高い医療を提供し、すべての患者さんが無事に治療を終えて元気に退院できる事を目標に日々精進しております。
左:ICUでのECMO治療、 右:アンギオ室でのポリグラフ操作
上:TAVI中のペーシング操作、 下:TAVI中のクリンピング操作
左:心臓血管外科手術の人工心肺操作、 右:心臓血管外科手術の神経モニタリングシステム操作
(8)心臓・血管リハビリテーションチーム
循環器センターでは心血管疾患で入院加療中の患者様に心臓リハビリをおこなっています。
急性心筋梗塞や心不全で入院されたり、心臓や大血管の手術をされた場合、安静を要する期間があります。急性期に安静にすることは心臓にとって大切なことですが、長すぎると体力が低下し回復に時間がかかります。高齢の方では特にその影響は大きくなります。
できるだけ早く良い状態で退院し質の高い家庭生活に復帰していただくために心臓リハビリをおこないます。手術や薬物治療を受け病状が安定した段階で、ベッド上のリハビリから開始し心臓リハビリ室での歩行訓練へと退院に向けて徐々に体を動かしていきます。心臓リハビリ室では血圧測定や心電図モニター監視をしながら安全に運動ができます。
また運動療法は心臓病の再発を予防する効果があり、退院後も続けていただくことが大切です。退院後の生活の仕方、運動療法、食事療法、薬物療法について医師、薬剤師、理学療法士、看護師、管理栄養士によるチームで指導をおこなっています。
心臓血管リハビリテーションチームの症例カンファレンス風景:患者様一人一人にベストのリハビリテーションプログラムを提供します。