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診療科

心臓血管外科

心臓血管外科とは

 心臓は皆さんご存じの通り、とても大事な臓器です。

 近年はカテーテル治療や内服治療の進歩により、循環器内科で適応できる症例が増えてきましたが、心臓血管外科手術がなければ治せない病気はまだまだたくさんあります。

 当科では、安全性の高い手術はもちろんのこと、患者さんへの負担の少ない術式での手術に取り組んでいます。

心臓血管外科の病気について

 心臓血管の手術対象となる疾患群は弁膜症・虚血性心疾患・大動脈瘤・末梢血管疾患が代表的です。

 弁膜症は高齢化に伴い非常に増加している疾患群で、疲れやすいとか息切れがするとかの「歳のせい」と思われがちな症状で発症します。実は心臓弁の病気は治療することで思った以上に元気になることがあります。

 虚血心疾患と末梢血管疾患はいずれもたくさん動いた時に、心臓または主として下肢に症状が出現する病気で、休むと一旦改善します。「動いた時だけだから」と軽く見ずにきちんと診断し治療が必要で、心筋梗塞や下肢の壊死という結果に繋がることもあり得ます。

 大動脈瘤は基本的に無症状の病気です。初めて症状を感じた時が破裂の時で、そのまま命に係わる状況となることがほとんどです。破裂前に診断される機会としては、健康診断や他の病気の検査の過程において、ということになりますので、やはり健康診断をキトンと受けておいてもらいたいと思います。

 症状を正しく把握し、軽く見ないこと、そして、定期的な検診・健診をきちんと受けることが非常に大切です。

当院の心臓血管外科の特徴

 当院の心臓血管外科チームは、高知市立市民病院心臓血管外科を前身として昭和44年7月にスタートしており、高知県民・市民の皆さまとともに歩んできた歴史はもうすぐ50年になろうとしています。

 どうしてもある程度のリスクを伴う心臓・大血管手術ですので、恐怖心や不安を抱くのは当然です。順序立てて説明し、どうしてリスクが生じるのかを明確にし、治療の選択肢を提示し、どの治療が最善かを患者さん・ご家族と相談して決めていくようにしています。

 一方で技術を磨き、同時に最新の治療を取り入れることも惜しまず行い、患者さんの負担を減らし、良い結果につながるように努力しております。

 当院の心臓血管外科チームには、他施設で治療困難な多くの重症患者さんが日々紹介されてまいります。重症・治療困難といわれている患者さんも、あきらめることなく、一度私の外来にご相談ください。必ずあなたに最適の循環器疾患治療があります。

スタッフ紹介

名前 役職 資格
三宅陽一郎
外来:毎週火曜日(午前/午後)
胸部疾患診療部長 日本心臓血管外科学会修練指導医
日本心臓血管外科学会専門医
日本外科学会専門医
大上賢祐
外来:毎週水曜日(午前)
科長 日本心臓血管外科学会専門医
日本外科学会専門医
胸部大動脈瘤ステントグラフト指導医
腹部大動脈瘤ステントグラフト指導医
浅大腿動脈ステントグラフト実施医
田中哲文
外来:毎週金曜日(午前)
医長 日本心臓血管外科学会専門医
日本外科学会専門医
胸部大動脈瘤ステントグラフト実施医
腹部大動脈瘤ステントグラフト実施医
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医
近藤庸夫
外来:毎週金曜日(午後)
医長 日本心臓血管外科学会修練指導医
日本心臓血管外科学会専門医
日本外科学会専門医
胸部大動脈瘤ステントグラフト指導医
腹部大動脈瘤ステントグラフト指導医
TAVI実施医
浅大腿動脈ステントグラフト実施医
下肢静脈瘤レーザー指導医

手術症例数の実績

疾患名 2018年 2019年
心臓弁膜症手術 84 92
虚血性心疾患手術 18 25
先天性心疾患手術 7 5
胸部大動脈瘤手術 30 28
腹部大動脈瘤手術 47 43
その他を含む合計 239 248

当科の「体に優しい心臓・大血管手術」—「低侵襲心臓大血管手術」と「長持ちする手術」のご紹介

 従来の心臓手術といえば、人工の心臓・肺である人工心肺装置を使って、心臓を止めておこなうため、体や心臓に負担の大きい大変な手術というのが常識でした。

 当心臓血管外科チームでは、人工心肺装置を使わず心臓も止めずおこなう「体にやさしい低侵襲心臓・大血管手術」に早くから取り組んできました。

(1)「心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術」は、天皇陛下が受けられた手術として有名になりましたが、当心臓血管外科チームは現在までに既に1,000名を越える患者様にこの手術を行っており、その高い安全性と高い完成度は全国屈指と評価されております。この「心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術」を、体内で最も動脈硬化がおこりにくい血管とされている血管である内胸動脈を2本使用して行うことを基本原則としています。内胸動脈は長期の開存性(長持ちすること)が証明されています。

(2)大動脈瘤には胸や腹を開けずに行う低侵襲カテーテル治療=「ステントグラフト治療」を行っておりますが、大動脈解離の場合“オープンステント”を用いて手術の手が及ばない部分の解決が期待できる方法を採用しています。

(3)弁膜症では自分の弁を残して作り直す「弁形成手術」を全国に先駆けて行いトップクラスの手術件数と成績を治めています。その精度を高めて生涯持つ弁に修復することを目標としています。また、体の弱い御高齢の心臓弁膜症患者様には、胸を開かず心臓も止めない「心臓弁膜症のカテーテル治療」も行っております。

 私達の「低侵襲心臓大血管手術治療」は、御高齢で脳梗塞・腎不全・糖尿病といった全身臓器の障害を持った患者様にとって特に利益が大きい手術法です。

 心臓手術は生きて帰れれば良いと考える時代から、術前と同様かそれ以上の生活ができるようになることを目標とする時代に変遷してきています。私達は患者さん一人一人の一生をともに考え、生涯にわたる病気のコントロールを目標に治療に当たりたいと考えております。

 体にやさしい「低侵襲心臓手術」をご希望の患者さん、そして、「長持ちする手術」を御希望の患者さんは、是非一度お気軽にご相談ください。

心臓弁膜症の手術—チーム通算手術件数1500例以上

自分の弁を残す弁形成手術

 心臓は4つの部屋を持っています。部屋のドアにあたるものが各々の部屋についていますが、これらを弁と呼びます。この弁の機能に障害を来した状態を弁膜症といいます。弁が変形し機能を失った場合には手術が必要となります。この弁膜症に対して、私どもは「悪い弁を人工弁にただ取り替える」のではなく、弁病変の形や心臓の機能・患者さんの状態に応じて、一人一人の患者さんに最も適切な手術法を選択し提供致します。多くの弁膜症で、自分の弁を温存する(:修復して残すことです)弁形成術が可能です。

心臓弁膜症のカテーテル手術

新着情報:「経カテーテル的大動脈弁人工弁置換術(TAVR/TAVI)」実施施設に当院が認定され、今まで手術不可能とされていた重症な方、とても手術の危険性が高い状態の方に対する最新の手術を当院で行っています。

 「経カテーテル的大動脈弁人工弁置換術(TAVR/TAVI)」とは、胸や心臓を大きく開くこと無く、心臓を止めること無く、カテーテル(細い管)により大動脈弁人工弁置換術を行う手術治療の事を言います。この手術は、
(1)大きな切開を必要としない
(2)心臓を止める必要が無い
(3)手術時間が短い
(4)手術からの開腹が早い等、多くの利点を有します。
この手術は、体に対する負担が非常に少ないため、体に優しい究極の「低侵襲手術」と言えます。



 この手術は、特別に設計された先進多機能機能手術室であるハイブリッド手術室(従来の手術室環境に心臓血管カテーテル検査室環境を備えた多機能最先端手術室)においてのみ施行可能とされております。また、手術は、この手術を目的に厳しく訓練された病院全職種からなる「TAVR/TAVIハートチーム」により行われます。
 「TAVR/TAVIハートチーム」は、循環器内科・外科、放射線科、麻酔科、看護師、放射線技師、臨床工学士などの病院全職種からなる専門チームで、この手術のために結成され、TAVR/TAVI実施のための訓練をつみかさねてまいりました。

「ハイブリッド手術室環境」・「TAVR/TAVIハートチーム能力」を含めた病院全体としての診療レベルは、経カテーテル的大動脈弁人工弁置換術関連学会により厳しく審査されます。この学会による厳しい審査に合格してはじめて、「経カテーテル的大動脈弁人工弁置換術(TAVR/TAVI)」実施施設認定を受ける事が出来ます。当院は、2014年11月14日付けで、この実施施設認定に合格し、2014年1月より経カテーテル的大動脈弁人工弁置換術(TAVR/TAVI)を開始し、現在に至っております。


 
 この手術は、従来の開胸手術で治療出来ない患者様が治療対象になりますが、最先端の心臓弁膜症カテーテル治療であることより、この治療特有の特殊な合併症の可能性もあります。この合併症を減少させるべく、開始当時は使用できなかった人工弁を含んだ2種類の人工弁を使いわけて治療をしています。

 この手術をおすすめできるか否かは、多方面からの精密な検査を行ってはじめて判断出来ます。

 この手術に関するお問い合わせ・ご相談は、地域医療連携室までご連絡ください。

【相談連絡先】

地域医療連携室:TEL:088-837-6700 /FAX:088-837-6701

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)—チーム通算手術件数1400例以上

心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術

 「心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術」は、天皇陛下が受けられた手術として一躍有名になりましたが、当科では現在までに既に931名の患者様にこの手術を行っており、その高い安全性と完成度は全国屈指と評価されております。

 この手術は、拍動する冠動脈に対し正確な吻合手技を短時間で確実に成し遂げる技術と経験が要求されるため、格段に高度の技術によってはじめて安定した高成績が達成できるスペシャリストの手術とされていますが、当科においては、独自の手術方法とスキルによりこの手術を標準術式として既に確立しており、現在までに1000名を越える患者様にこの手術を行っています。現在、当科においては、計画的に行った冠動脈バイパス手術のほぼ全例をこの「心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術」でおこなっており、その手術時の大きな合併症の発生率は0.2%と極めて低く、当科の「心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術」の質の高さは国際的にも高く評価されています。

 当院の心臓血管外科は世界最高水準の「心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術」を提供できる施設です。

 この世界水準の意味には2本の内胸動脈を使用した手術という意味を含んでいます。内胸動脈は体の中で最も動脈硬化がおこりにくい血管とされており、この2本の動脈硬化がおこりにくい血管を左冠動脈の主要領域に使用することで「長持ちするバイパス」作成することにより、手術やカテーテル治療の再介入を避けるか、または減らすことができるように努力していく方針です。

 「冠動脈バイパス手術」が必要と言われた患者様は一度ご相談ください。

「心拍動下低侵襲冠動脈バイパス手術」に関する当科の国際学術論文:

(1)Suzuki T, Okabe M, et al : Our Experiences for Off-Pump Coronary Artery Bypass Grafting to the Circumflex System. Ann Thorac Surg 2003;76:2013-6

(2)Suzuki T, Okabe M, et al : Usefulness of Preoperative Intraaortic Balloon Pump Therapy During Off-Pump Coronary Artery Bypass Grafting in High-Risk Patients . Ann Thorac Surg 2004;77:2056-60

(3)Yasuda F, Okabe M, et al : New Intraluminal Coronary Shunt Tube for Off-Pump Coronary Artery Bypass Grafting. Ann Thorac Surg 2004;78:1814-7

大動脈瘤の手術—チーム通算手術件数1300例以上

大動脈瘤ステントグラフト治療

 ステントグラフト治療は、胸やお腹を開かず、人工血管をカテーテルで血管内に留置する大動脈瘤の手術です。胸やお腹を開かないため、従来の開胸・開腹手術に比べ圧倒的に低侵襲で「からだに優しい」手術です。当科では、胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤の半数以上をこの「からだに優しい」ステントグラフト手術で治療しております。

 他施設でステントグラフト治療不可能と診断された患者様の多くも当院でステントグラフト治療を受けられております。

 患者様からは、手術後の圧倒的な早い回復と負担の少なさに驚きの御感想を多くいただいております。

胸部大動脈瘤手術

 胸部大動脈瘤開胸手術は、人工の心臓・肺である人工心肺装置を使って、心臓を止めておこなうため、あるいは脳の特別な保護が必要なため、体や心臓に負担の大きい大変な手術というのが常識でした。当科では、独自の手術方法とスキルにより、胸部大動脈瘤の開胸手術においても、低侵襲で安全性の高い手術を実現しており、脳合併症の発生頻度は驚くべき低さです。

 当科では、大動脈瘤ステントグラフト治療が適応できない大動脈瘤患者様においても、85歳を超えたご高齢患者様においても、低侵襲で安全な胸部手術を行う環境が整備されています。

先天性心疾患手術—チーム通算手術件数200例以上

補助人工心臓(体外設置型)実施認定施設

 当施設は、補助人工心臓(体外設置型)実施認定施設です。従来の治療法で生命を維持できない患者様には、補助人工心臓での治療ができる施設です。

 補助人工心臓による治療という新しい治療法の可能性があります。