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病理検査科

病理検査科は、病理医2名・臨床検査技師5名(細胞検査士3名を含む)・秘書1名よりなり、大きく分けて病理組織検査・細胞診検査・病理解剖の3つの業務を行っています。

業務内容

  1. 病理組織検査
  2. 細胞診検査
  3. 術中迅速組織検査
  4. 術中迅速細胞診検査
  5. 病理解剖

1.病理組織検査

患者さんから採取した臓器や組織を詳しく調べ、病気の診断を行う検査方法で、多くの場合その患者さんの最終診断となり、治療法の選択、予後の推測などに重要な情報を提供します。

組織検査のながれ

検体提出→撮影→固定→切り出し→包埋→薄切→染色→検鏡→報告

検体提出

病理検査科に隣接している手術室からの検体(臓器)は、このパスボックスから生のままで提出されます。

撮影

提出された臓器を撮影し、画像を電子カルテに貼り付けます。
臨床医はその画像で患者さんまたは御家族に説明します。

固定

ホルマリンで固定します。
固定時間は臓器の大きさにもよりますが、数時間から1日ぐらい必要です。

切り出し

固定された臓器は、病変部を含め適当な大きさに切り出し、包埋用カセット(左下)に入れます。(通常病理医とともに行います)

自動包埋装置

検体(臓器)の脂肪と水分を取り除きパラフィンとなじむようにします。

包埋

カセットから検体を取り出し、パラフィンで固めパラフィンブロックを作製します。

薄切

ミクロトームという薄く切る機器でパラフィンを3~4μm(1000分の3から4ミリ)の厚さに薄切し、スライドグラスに貼り付けます。

HE染色(ヘマトキシリン・エオジン染色)
自動染色封入装置でHE染色を行います。

上が無染色、下がHE染色された標本です。
これを病理医が検鏡して病理診断を行います。

顕微鏡像

左:HE染色
右:特殊染色(EVG染色)
血管壁の弾性繊維を濃紫色に染色しています。

自動特殊・免疫染色装置

HE染色だけでは病理診断のつかないものに、特殊染色や免疫染色を行います。
機械で染色できない特殊染色については技師が染色しています。

2.細胞診検査

細胞診検査は、検体採取において患者さんへの負担が少なく、実施が容易です。
材料は、婦人科材料・尿・痰・気管支材料・甲状腺・乳腺・体腔液・髄液・膵液・胆汁などさまざまです。採取された検体には臓器の剥がれた細胞が混じっています。
その細胞を染色・鏡検し、診断を行います。

細胞診検査の流れ
検体処理

検体は直接スライドグラスに塗沫。
液状検体は遠心して沈渣を塗沫。
固定はアルコールを使用します。

パパニコロウ染色

自動染色装置で染色します。

鏡検用標本

パパニコロウ染色された標本です。
この標本を細胞検査士が検鏡し診断します。

3.術中迅速組織検査

手術中に、患者さんの臓器や組織の一部を採取し、迅速に病気の診断を行う検査方法で、良悪性の判定や切除範囲の決定に利用します。

術中迅速組織検査のながれ

検体提出→凍結標本作製→薄切→染色→鏡検→報告(約20分で報告します)

クリオスタット

手術室から提出された検体を-20℃以下で凍結し薄切する機器です。術中迅速検査にはこの特殊な機器を使用します。

1.提出された検体
2.−20℃で凍結標本を作製
3.クリオスタットにて薄切

4.術中迅速細胞診検査

手術中に患者さんの体腔液等に含まれている細胞を短時間で標本作製・診断を行います。
その結果により、手術術式等が変更される場合もあります。

基本的には通常の細胞診検査と同じですが、各工程を短縮し、検体提出より約30分で結果の報告をしています。

病理解剖

臨床的な疑問を解決し、死因の確定や生前診断が正しかったかどうか、また、治療が適切であったかどうか等を明らかにするためにおこなっています。全症例、病理医・研修医を含め関係スタッフが参加しCPC(臨床病理検討会)を行い記録を残します。