核医学検査科
核医学検査(シンチグラフィ)とは
シンチグラフィ(scintigraphy)は、放射性同位元素(ラジオアイソトープ)で標識された放射性医薬品を体に注射し、その後の放射性医薬品の体中分布をガンマカメラと呼ばれる専用の装置で画像としてみる検査です。
心臓や腎臓などの様々な臓器の血流状態や機能(はたらき)状態を検査することができ、放射性医薬品がどのような速さで、どこに、どれだけ集まってくるかを調べることで病気の状態や形状を診断することが出来ます。また、薬剤の種類によってどの臓器に分布し、どの様な機能を反映するかが決まり、検査の種類が異なります。
骨シンチ
副甲状腺シンチ(副甲状腺腺種)
腎動態シンチ
心筋血流シンチ
核医学検査の流れ
予約
(1)診察
症状に合わせて検査の計画を立てます。疑問や不安がありましたら、主治医へお問あわせください。
(妊娠中や授乳中の方は申し出て下さい。)
(2)予約
核医学で使用される薬(放射性医薬品)は、有効期間が短いため、検査予定にあわせ発注され、当日の検査分が毎朝病院に届けられます。このため、事前に検査の予約をしていただく必要があります。
(3)前処置
検査によっては検査前に絶食をしたり、下剤を投与したりします。
また、服用中のお薬を検査終了まで一時中断することもあります。
検査当日
(1)放射性医薬品の投与
放射性医薬品を注射します。検査によってはカプセルで服用したりすることもあります。投与後、検査薬が目的部位に集まるのを待って検査を始めます。
(検査によって、待ち時間は違いますので、説明を受けてください。)
(2)撮影
カメラの下で静かに横になって撮影します。撮像時間は検査によって異なりますが、15分から1時間ぐらいです。
(3)終了
核医学の専門医が読影して、レポートを作成します。
レポートは依頼科に送られますので、患者さんは担当医より説明を受けます。
SPECT-CTとは
SPECT装置と臨床用マルチスライスCT装置を一体化させた装置で,同一の寝台でSPECT画像とほぼ同じタイミングでCT画像を高速撮影することができるため,非常に高い精度でSPECTとCTの位置合わせ画像を得ることがます。
副腎皮質シンチ(クッシング症候群)
腎皮質シンチ
SPECT-CT Fusion(クッシング症候群)
SPECT-CTの特徴(メリットとデメリット)
☆SPECT・CTのメリット
- 形態情報の乏しいSPECT画像をフュージョン表示によるRI集積部位の正確な位置を同定
- SPECTと診断レベルのCT画像を同じ断層像で画像診断することによる診断能向上
- CT画像を用いたSPECT画像の減弱補正による画質・定量性の向上
★SPECT・CTのデメリット
- 検査時間が若干長くなる(CT撮影の2~3分)
設備装置の紹介
「X-SPECT」と言われる画像再構成技術を搭載しており従来のSPECT装置に比べ、画像の品質が大幅に向上しています。さらにルーチン検査におけるアイソトープ(放射性同位元素)の定量評価が可能になり、より確かな診断のために有用な情報を提供できるようになりました。
Symbia Intevo(シンビアインティボ):シーメンス製CT搭載型ガンマカメラ
主な検査
高知医療センターでは幅広い検査を実施しております。
- 骨シンチ
- 甲状腺シンチ
- 脊髄シンチ
- 心筋血流シンチ
- 副甲状腺シンチ
- 脳血流シンチ
- 肝受容体シンチ
- 脳槽シンチ
- 腎シンチ
- 肺血流シンチ
- 腫瘍シンチ
- 副腎シンチ
- 唾液腺シンチ
- センチネルリンパ節シンチ
- メッケル憩室シンチ
- 消化管出血シンチ
- ドーパミントランスポータシンチ など
PET検査とは
PET検査では、18F-FDGという放射性医療薬品を用います。
この薬品は体内でブドウ糖と同様の挙動を示し、ブドウ糖の取り込みが亢進している細胞に集積し放射線を出します。
これは、がん細胞などの悪性腫瘍が正常な細胞に比べて活動が活発なため、正常組織より多くエネルギー源であるブドウ糖を取り込むという特徴を利用したものです。PET検査は、このようながん細胞の性質に着目して、FDGの全身分布をPETカメラで撮影することでがんを発見する診断法です。
従来のCTやMRIなどの形を見る検査とは異なり、細胞の活動状態を画像で見ることができるため、がんの位置や大きさ、心臓、脳の病気の原因や病状の診断に有用です。
また、一回の投与で全身の病変を検索できるという利点もあります。
PET/CTとは
PET/CTとは、PET(Positron Emission Tomography : 陽電子放出断層撮影)とCT(Computed Tomography)の特徴を融合させた最先端の検査です。
PETではがん細胞の活動状況を知ることを得意とします。また、CTでは臓器の形をしっかりと映し出すことを得意とします。その二つの画像を重ね合わせてみることにより、正確な診断を行うことが出来ます。PET/CTはPET装置とCT装置を一体化したもので、二つの検査を同時に短時間で行うことができます。
PET検査の流れ
予約
核医学で使用される薬(放射性医薬品)は、有効期間が非常に短いため、検査時間にあわせ発注され、当日の検査分が毎朝病院に届けられます。このため、事前に検査の予約をしていただく必要があります。
また、下記の理由による検査は行っておりませんので、ご注意ください。
◎個人からのPET検査依頼
(当院及び地域の医療機関で御病気を精査、加療されている患者様でPET検査が必要と判断された方が対象です。かかられている医療機関より予約可能です。)
検査にあたっての注意
◎絶食
検査前6時間(検査内容によっては18時間)は食事や糖分を含んだ水分摂取は中止してください。(前日と当日の運動は控えてください)
◎時間厳守
注射薬剤は時間経過で放射線を出す力が弱まります。分単位で減弱するため時間には非常にシビアな検査となりますので時間厳守で来院ください。
検査当日
- 24番核医学検査受付へ
- 待合ラウンジへ、また更衣室にて更衣
- 説明室
検査当日の説明、水500mlをお渡しします(薬剤注射後~撮影までに飲水ください) - 待機室にて待機
- 注射・処置室
薬剤注入 - 待機室
薬剤が体に馴染むまで約1時間程度待機します。
待機中は安静が必要です。読書、音楽鑑賞、おしゃべり、携帯電話の操作なども控えてください。
説明室にてお渡しした水はできる限り全量飲水ください。
トイレに行く際は男性の方も座って排尿ください。 - 検査室
検査は20分程度です。 - 回復
検査後は約30分程度指定された部屋にてお休みいただきます。受付から検査終了まで3時間程度です。また、場合により検査後20~30分で再度撮影を行う場合もあります。
当院の装置
Biograph mCT Flow(バイオグラフ エムシーティー フロー)シーメンス製PET・CT装置
PET検査による被ばく
PET検査での被曝線量は、1回あたり約3.5mSv(ミリシーベルト)です。
これは人が1年間に自然界から受ける2.4mSvの約1.5倍の量です。
また最近のX線CTを組み込んだPET/CT検査では、X線CTによる被曝(数mSv~十数mSv)が加わりますが、この線量で急性の放射線障害が起こることはありませんので、ご安心ください。