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血液管理科

2024/05/31

血液管理科では血液管理業務と外来採血を中心に、生殖補助医療業務や腎移植関連業務、造血幹細胞の保存管理業務を行っています。
またそれぞれの業務には、認定輸血検査技師、認定HLA検査技術者、胚培養士の専門資格を有する技師が携わっています。

  1. 血液管理業務
  2. 造血幹細胞の保存管理業務
  3. 腎臓移植関連業務
  4. 生殖医療補助業務
  5. 外来採血業務

1.血液管理業務

血液管理室では、24時間体制で安全かつ適正な輸血療法を行えるよう、赤十字血液センターへ血液製剤の手配、保存管理、供給等を行っています。
血液製剤には赤血球製剤(組織に酸素を供給)、血小板製剤(止血作用)、血漿製剤(凝固因子の補充)、アルブミン製剤(血漿膠質浸透圧の維持)等があり、今日では必要な血液成分のみを輸血する成分輸血が主流となっています。
これらの血液製剤を厳しく温度管理された専用の冷蔵庫、冷凍庫等で保存管理しています。
また、血液には寿命があり、有効期間が定められていますので、善意の献血によって提供された貴重な血液が無駄にならないように日々調整に努めています。
輸血を必要とする予定手術では、患者さんご自身の血液(自己血)を医師、看護師とともに採血し、手術予定日まで専用の冷蔵庫で保存管理をしています。自己血輸血は、同種血(他人の血液)輸血の副作用を回避し得る最も安全な輸血療法であり、当院でも積極的に取り組んでいます。

  • 自己血採血用ベッド

  • 血液製剤用保冷庫

2.造血幹細胞の保存管理業務

骨髄移植(BMT)や末梢血造血幹細胞移植(PBSCT)、臍帯血移植(CBT)のために採取した幹細胞の保存管理を行っています。

造血幹細胞を採取、保管するための機器

3.腎移植関連業務

当院は県下で唯一の献腎移植施設です。血液管理科では高知県内の献腎移植希望者に対して、日本臓器移植ネットワークへの登録に関する検査、血清の保存及び輸送、また当院での生体腎移植に関わる業務に携わっています。組織適合性検査(HLAタイピング、リンパ球交差試験)は、検体検査室と協力して実施しています。

4.生殖補助医療業務

生殖補助医療(ART)とは卵子を体外に取り出し、体外で精子と受精させて培養した後に子宮腔内に移植し、妊娠・出産をサポートする一連の治療の事です。現在、その登録施設数は日本で約610施設(県内3施設)あり、当院もその内の1つとして登録・実施しています。ARTの中で主に卵子や精子、胚(受精卵)を取り扱う業務を当院では臨床検査技師3名が担当しており、内2名が胚培養士の専門資格を取得しています。
業務内容は医師が採取した卵胞液からの卵子回収、精液検査、良好精子回収、顕微授精、媒精(シャーレ内で精子と卵子を混合・培養して受精を促す操作)、胚培養、胚や精子の凍結および融解、医学的適応(将来妊娠を希望するがん患者さんの治療前)の卵子凍結・融解などがあり、良質な医療を提供できるよう日々努力しています。また2023年末よりタイムラプス培養器を導入し、経時的な胚発育の観察が可能となりました。当院では臨床検査技師がタイムラプスの画像や精液所見、卵子の状態、過去の採卵データなどを参考に採卵後や胚移植前に直接患者さんとお話させていただいています。なるべくわかりやすくお伝えすることで、患者さんにとって安心・納得できる治療となるよう努めています。

5.外来採血業務

外来採血室では患者さんのプライバシー確保や患者間違いを防止するために、採血業務支援システムを導入しています。患者さんの呼び出しは採血整理券番号で行い、廊下に設置したプラズマディスプレイや採血台にも採血整理券番号を表示し、分かりやすい表示に努めています。また、採血台を個別化することで、まわりを気にせずゆったりと採血を受けていただけます。採血台はすべて上下可動式ですので、患者さんに合わせて高さを調節できますし、車椅子に座ったままの採血も可能です。また、廊下のプラズマディスプレイには、採血整理券番号だけでなく、待ち時間や保留番号の表示もされているので、採血コーナーが混み合っている場合は、待ち時間を利用して他の検査(レントゲンや心電図など)にまわることもできます。
1日に約300人の患者さんを受け付けるには少し手狭ですが、外来採血室スタッフ一同、採血技術の向上とともに笑顔の対応を心がけています。なお、当採血室は、注射に係る処置などには対応できませんのでご了承下さい。