移植外科
移植外科とは
移植外科では、慢性腎不全の根本的治療である腎移植を中心として、透析のためのシャント手術、シャントトラブルに対する治療、二次性上皮小体機能亢進症に対する外科的治療、移植患者のフォローアップなどを行っています。
透析をしている患者さんがほかの病気で手術をしないといけないときのお手伝いもします。
当院の移植外科の特徴
腎移植手術を希望される患者さんはぜひ気軽な気持ちで受診してみてください。
また日本臓器移植ネットワークの献腎移植希望者登録(新規、更新)を受け付けております。
移植手術を受けた患者さんの外来をしております。シャントや二次性上皮小体機能亢進症で困っている患者さんの相談を受け付けています。
「腎臓移植」ってご存知ですか?
腎臓移植という治療を知っていますか? 移植といわれると何となく怖そうとか、むずかしそうという印象を持っている人も多いと思います。腎臓移植は末期腎不全の治療法の一つです。最近では慢性腎臓病という名称が一般的になっていますが、慢性腎臓病ステージ5になると自分の腎臓では生命を維持するのが困難となり、腎臓の働きを肩代わりする治療(腎代替療法)が必要となります。
腎代替療法には
- 1.血液透析
- 2.腹膜透析
- 3.腎臓移植
と3つの方法があり、この3つから患者さんは自分に合った治療法を選びます。
血液透析や腹膜透析は日本全国で多くの人が治療を行っていますが、腎臓の働きすべてを肩代わりすることはできません。腎臓移植は健康な腎臓を手術で移植するので、腎臓が健康であった状態に戻ることができます。食事制限が軽くなり、体が元気になり、以前と同じような仕事ができるようになり、生命予後も改善します。若い女性では妊娠出産が可能となり、小児では身長の伸びが期待できます。スポーツや旅行なども楽しむことができるようになります。
腎臓移植では拒絶反応が問題となるため免疫抑制剤を内服しないといけませんが、近年の免疫抑制療法の進歩により拒絶反応は減少し、血液型が違っていても、HLA(組織適合性抗原)が合っていなくても移植ができるようになっています。慢性腎臓病と診断された方はまず、腎臓が悪くならないようにしっかり治療を受けることが重要ですが、ステージ5になった時には血液透析や腹膜透析だけではなく腎臓移植という治療法があることを覚えておいてください。
高知県でも腎臓移植を受けることができます。高知医療センターは高知県唯一、腎臓移植を行っている病院であり平成17年3月に開院してから平成30年12月までに136例の腎臓移植手術を行っています。
手術を受けた患者さんの年齢
10歳から76歳まで平均49歳。男性が80例、女性56例でした。
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- 2005年3月から2018年11月までに高知医療センターで136例の腎移植を施行した。
- 男性80、女性56
- 年齢49歳(10〜76歳)
腎臓が悪くなった原因
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- 慢性糸球体腎炎 35%
- 糖尿病 21%
- IgA腎症 11%
- 多発性嚢胞腎
- 巣状糸球体硬化症
- ループス腎炎
- 低形成腎 などでした。
ドナー(腎臓を提供した人)
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腎臓を提供してくれたのは配偶者が34%と最も多く、ついで母親26%、兄弟姉妹19%、父親10%、亡くなった方からの腎臓提供7%、その他親族4%でした。
生存率と生着率
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近年血液型不適合腎移植や糖尿病性腎不全に対する腎移植が増加していますが、その成績は血液型適合例、非糖尿病例と比較して同等でした。
移植患者の透析歴
- 透析を行わずに腎移植を行うことを先行的腎移植といい、近年増加傾向にあります。透析に伴う合併症がないため移植の成績が良好であり、シャントの手術や透析が必要ないためコスト的にも優れています。当院では36%の方が先行的腎移植でした。
腎移植症例の推移
- 実は医療経済的にも腎臓移植は優れています。現在日本全国で33万人の方が慢性透析を受けていますが、血液透析は1人につき年間約480万円かかるため日本全体で1.5兆円の医療費が必要です。移植をすると初年度は入院、手術費が必要で高額ですが、その後は検査と薬代だけですから年間約132万円と、透析の3分の1に医療費を抑えることができます。腎臓移植をしても身体障害者1級ですから患者さんの自己負担はほとんどありません。
よいことばかりの腎臓移植が日本で一般的でない大きな理由の一つは臓器提供者が少ないことだと考えます。腎臓移植は腎臓の提供者がいないとできません。亡くなったかたからの提供で腎臓移植を行うこと(献腎移植)が本来の姿です。しかし日本では臓器提供が少ないためやむを得ず親族からの提供を受け、腎移植を行っています(生体腎移植)。健康でないと腎臓を提供できないため、どこにも病気のない健康な体を傷つけてしまわないといけないという大きな問題を持っています。これを解決するには亡くなったかたからの臓器提供を増やす以外には方法がありません。今後私達みんなが考えていくべき大きな課題です。
当院では献腎移植も生体腎移植も行っておりますので、腎臓移植について相談がある場合は一度受診をしてください。