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外傷(担当:松本、山川)

 外傷患者のうち約70%の割合で整形外科の関与する外傷が発生すると報告されています。当院の整形外科医は整形外傷治療に習熟しており、外傷の初期対応から手術、術後管理まで幅広く対応します。また最近の統計で日本において防ぎえた外傷死が40%と報告されています。その原因として外傷患者を集中して診療にあたる専門施設が少ないということが挙げられています。高知医療センターでは救命救急センター開設以来、3次救急対応施設として重症外傷患者を積極的に受け入れており、高知県における防ぎえた外傷死を少しでも少なくするため、外傷センター的役割を目指しております。また高知県全域より救急患者を受け入れるため、救急患者のヘリコプター搬送を積極的に行っておりますが、外傷患者においては整形外科外傷スタッフもヘリコプターに同乗し、現場からの治療に参加しております。多発外傷患者においても初療より積極的に診療に携わっており、さらに集中治療においても救急医と連携をとりながら治療にあたっております。また多発外傷患者の治療として骨折の早期内固定、ETC(early total care)やEAC(early appropriate care)が外傷後の合併症を減少させると言われており、当院では患者の状態改善を行った後に可能なかぎり早期内固定をめざし、髄内釘・プレートなどを常備し、緊急で手術が行える状態にしております。また不安定な骨盤骨折、関節内骨折である寛骨臼骨折も積極的に内固定を行っており、術後翌日より座位や離床訓練を開始し非常に良い結果を得ております。
 時代はすでに超高齢社会に突入し、骨粗鬆症患者における骨折が非常に増加しております。骨粗鬆症性骨折の内固定は、その骨脆弱性のため強固な固定が困難ですが、近年それらを解決するために新しい固定システムが多数開発されております。当院では積極的に新しい固定システムを採用し、安全・安心に最先端の治療が行えるように努めています。また患者さまの早期社会復帰をめざし、できる限り早期手術、早期リハビリテーションを行うよう心がけております。
 令和2年には416件の骨折・外傷関連の手術を行いました。重度外傷、変形治癒など治療が困難または難渋している患者がおられましたら、是非当院にご紹介くださればと思います。また術後の状態が安定された患者を逆紹介させていただくことも多く、大変御迷惑おかけしておりますが今後とも宜しくお願いします。