脊椎(担当:宇川)
当院での脊椎治療の特徴的なこととしては
1.脊髄損傷に対応します
救急救命センターの使命の一つとして、脊髄損傷の受け入れに力を入れています。交通事故や労災事故などで脊椎を骨折され、四肢麻痺となった患者さんの治療は集学的治療が必要です。緊急手術による脱臼骨折の整復、固定術が必要なことは当然ながら、人工呼吸、血圧管理などICUでの集中治療が欠かせません。脊髄損傷の患者さんを搬送するのにはヘリコプターがもっとも振動がなく、最速です。救急車では振動が強く、激痛を生じます。連絡を受け次第、緊急手術の準備し、ヘリポートからICU、手術室へと即座に行けます。最近では脊髄損傷を専門とする医師が減少し、全体像を捕らえての治療ができる施設が四国には無いのが現状です。
2.ナビゲーション支援手術をおこなっております
当院で行っているナビゲーション支援手術は手術中にCTを撮影して,CT画像を参考にしながら手術をおこなっているものです。正確なインプラント設置が可能になり、手術の安全性向上に貢献しています。また当院では(1)とも重複しますが、頚椎固定術は低侵襲な術式を考案し実践しております(Minimally Invasive Cervical Screw: MICEPS)。MICEPSもナビゲーション支援手術にて行っております。頚椎症性脊髄症は縦割式の椎弓形成を基本としておりますが、脊椎の配列(アライメント)が不良な場合など低侵襲な固定(MICEPS)を追加したり、頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)にも低侵襲に固定術を追加することが可能となっております。
3.コンドリアーゼ椎間注入 低侵襲な治療を行っております
腰椎椎間板ヘルニアに対する新たな治療法であるコンドリアーゼ注入を行っております。へルニアを起こしている椎間板の髄核に注射します。髄核は保水成分が豊かで、ヘルニコア(コンドリアーゼ)が髄核内の水分を奪いヘルニアが縮小させます。結果として神経の圧迫が軽減、痛みや痺れなどが軽減すると考えられています。対象になる患者様は保存療法で十分な改善が得られない後縦靭帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニアで1泊2日の入院で行っております。