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消化器外科・一般外科(肝胆膵部門)
- 肝胆膵部門とは
- 肝胆膵領域の癌と診断されたら
- 膵癌治療について
- 胆道癌治療について
- 高難易度手術(膵頭十二指腸切除術)
- ロボット支援下肝臓切除術
- ロボット支援下膵臓外科手術
- 経験豊富な専門医の紹介
- 膵臓癌治療のすべて
肝胆膵部門とは
肝臓・胆道(胆嚢・胆管)・膵臓の悪性疾患を中心に外科治療を行っています。
当院は日本肝胆膵外科学会が認定する高度技能専門医修練施設(A)です。高度技能専門医修練施設(A)は学会が指定する高難度肝胆膵外科手術を年間50症例以上行っている施設が認定され、高知県では唯一のA認定施設となっています。当院は四国・中国地方で上位に入る症例数の手術を行っており、高知全域からの患者さんの治療に当たらせていただいています。

肝胆膵領域の癌と診断されたら
一般に複雑な外科手術を行う施設の症例数と手術成績との間には密接な関連があり、症例数の多い施設における術後死亡率や術後合併症は低いとされています。肝胆膵領域の手術に関してもこの”volume-outcome relationship”が指摘され、専門的治療はhigh-volumeの専門施設への患者の集約化が進められており、特に欧米ではこの傾向がみられます。
日本においては、2008年に日本肝胆膵外科学会の主導のもと、「肝胆膵外科高度技能専門医制度」が設立され、専門医養成のためのトレーニング施設が設けられました。2023年に肝胆膵外科学会から発表された論文によると、認定されていない施設と修練施設Bとの間では、術後合併症発生率や術後在院死亡率は同等でしたが、修練施設Aで行われた手術の成績は良好でした。この結果からも、肝胆膵領域の外科治療に関しては、手術の技術のみならず術後の合併症への対応などの周術期管理においても、専門医や指導医を含むチーム医療が確立されている修練施設Aで肝胆膵外科治療を行うことが非常に有用であると解釈されます。

高知医療センターの膵癌治療について
厚生労働省の統計によると、膵臓がんは年間に人口10万人あたり約33人が新たに診断される疾患です。高知県の人口規模を踏まえると、県全体では年間およそ200人前後の方が膵臓がんと診断されていると推定されます。高知医療センターでは、2005年から2022年までの18年間に1,884人の膵臓がん患者さんを診療してきました。近年は診療件数がさらに増加しており、2024年以降は年間140人を超える膵臓がん患者さんを受け入れ、膵臓外科手術も年間60例以上を行っています。高知県は東西に広く、交通網の制約から、居住地域によっては専門的医療へのアクセスが容易でないという課題を抱えています。膵臓がんは、診断・手術・薬物療法・合併症管理に至るまで高度な専門性と経験が求められる疾患であり、経験を有する施設での集学的治療が重要とされています。一方で、県内すべての医療機関で同一水準の膵臓がん診療を提供することは、現実的には容易ではありません。高知医療センター消化器外科では、安全性を最優先とした外科治療から、化学療法、支持療法に至るまで、一貫して責任をもった診療を行っています。地域の中核病院として、居住地にかかわらず適切な膵臓がん診療を受けていただける体制づくりを大切にしています。膵臓がんの診療や治療方針についてお困りの患者さん、あるいはご紹介をご検討中の医療機関の先生方がおられましたら、いつでもご相談ください。高知県における膵臓がん診療の一端を担う施設として、今後も地域医療に責任をもって取り組んでまいります。

高知医療センターの胆道癌治療について
胆道がんは、胆汁の通り道である胆道に発生するがんの総称で、肝内胆管がん、肝門部胆管がん、胆嚢がん、遠位胆管がんなど、発生部位によっていくつかに分類されます。がんが生じた場所や進展の仕方によって治療方針は大きく異なるため、正確な診断と経験に基づいた治療選択が極めて重要な疾患です。胆道がんの根治を目指す治療は外科的切除ですが、その手術内容は一様ではありません。胆管切除のみで対応できる場合もあれば、肝臓切除や膵頭十二指腸切除、さらには肝臓切除と膵頭十二指腸切除を同時に行う高度な手術が必要となることもあります。そのため、胆道がん手術においては、術前にがんの広がりを詳細に評価することに加え、肝臓の予備能や全身状態を慎重に見極め、安全に手術が行えるかを総合的に判断することが欠かせません。高知医療センターでは、消化器外科を中心に、内科、放射線科、麻酔科、看護部、栄養部門などが連携し、術前からチーム医療として患者さん一人ひとりの状態を丁寧に評価したうえで、最適な治療方針を検討しています。手術が可能な患者さんには安全性を最優先とした外科治療を行い、手術が困難な場合においても、最新の薬物療法や支持療法を取り入れ、可能な限りの治療を提供する方針としています。胆道がんは診断から治療まで専門性が求められる疾患です。高知県において、居住地域にかかわらず適切な胆道がん診療を受けていただけるよう、当センターは地域の基幹病院としての役割を担っています。胆道がんの診療や治療方針についてご相談がありましたら、いつでもご連絡ください。

高知医療センターの高難易度手術(膵頭十二指腸切除術)
膵頭十二指腸切除術は、膵臓の頭部周囲に発生する腫瘍に対して行われる手術で、膵頭部がん、遠位胆管がん、膵神経内分泌腫瘍、膵管内乳頭粘液性腫瘍、十二指腸がんなどが主な対象疾患となります。切除範囲が広く、再建操作も複雑であることから、消化器外科手術の中でも最も侵襲の大きい手術の一つとされています。一般的に、膵頭十二指腸切除術の手術時間は8~10時間前後を要することが多いとされています。当センターでは、長年にわたり膵頭部領域疾患の診療に取り組み、経験豊富で固定された手術チームによる体制のもと、これまでに約1,000例の膵頭十二指腸切除術を施行してきました。その結果、現在では多くの症例においておおよそ5時間前後で手術を完遂しています。手術時間の短縮は目的ではなく、的確な判断、無駄のない手技、チーム全体の熟練度が積み重なった結果と考えています。安全性を最優先とした手術を徹底しており、術後合併症の発生も比較的少ない状況で推移しています。こうした実績を踏まえ、近年では高知県外から膵頭十二指腸切除術を目的に受診される患者さんもおられます。高知医療センターは公立病院として、地域医療を基盤としながらも、膵頭部領域疾患に対する高度で安定した外科治療を提供する役割を担っています。膵頭部領域の疾患で膵頭十二指腸切除術が必要と診断された患者さん、あるいは治療方針について検討を要する場合には、いつでもご相談ください。患者さん一人ひとりの状態に応じた、責任ある医療を提供してまいります。

ロボット支援下肝臓切除術
高知医療センターでは、これまでに約1,300件の開腹による肝臓切除手術を行ってきました。肝臓外科において長年培ってきた解剖学的理解、出血管理、合併症回避に関する知見は、当センターの大きな強みです。2025年1月より、これらの経験を基盤としてロボット支援下肝臓切除を導入しました。ロボット支援下手術は、繊細な操作や安定した視野が得られる一方で、肝臓手術特有の判断力やトラブル対応には、従来の開腹手術で裏付けられた確かな外科的判断が不可欠です。当センターでは、これまでの開腹手術で積み重ねてきた豊富な経験と専門知識をロボット支援下手術に適切に活かし、安全性を最優先に、一例一例を慎重に行っています。新しい技術を導入する際にも、従来の治療成績や安全管理を大切にしながら、患者さんにとってより負担の少ない治療の選択肢を提供できるよう努めています。

ロボット支援下膵臓外科手術
膵臓手術は、術後合併症をきっかけに重篤な状態へ進行する可能性があるため、十分な経験と体制を有する専門施設で行うことが重要とされています。高知医療センターでは、これまでに開腹手術による膵臓手術を約1,500例行ってきました。長年にわたり蓄積してきた膵臓外科の経験は、手術手技のみならず、合併症の予防、早期発見、適切な対応にまで及んでおり、当センターの膵臓診療の基盤となっています。こうした実績を踏まえ、2025年5月よりロボット支援下膵臓切除術を導入しました。高知県内では高知医療センターが唯一ロボット支援下膵臓切除を受けることができる施設です。ロボット支援下手術は、精緻な操作や安定した視野が得られる一方で、膵臓手術特有の判断やトラブル対応には、従来の開腹手術で培われた確かな外科的経験が不可欠です。当センターでは、これまでの豊富な開腹手術の経験を適切に活かしながら、安全性を最優先にロボット支援下手術を行っています。現在のところ、ロボット支援下膵臓切除術においても、合併症の発生は比較的少なく、安定した成績で治療を行えています。新しい技術であっても、無理な適応拡大は行わず、患者さん一人ひとりの状態を慎重に評価したうえで治療方針を決定しています。高知医療センターは公立病院として、地域に根ざした医療を担うと同時に、専門性が求められる膵臓疾患に対して責任ある医療を提供する役割を担っています。膵臓の病気で手術治療をご検討中の患者さんや、治療方針について相談を要する場合には、いつでもご連絡ください。

経験豊富な専門医の紹介
| 名前 | 専門分野・資格など | |
|---|---|---|
| 部長 (兼)科長 (兼)中央手術センター長 |
岡林 雄大 | 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医 日本消化器病学会専門医・指導医・評議員 日本臨床栄養代謝学会四国支部TNT講師 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医・評議員 日本臨床外科学会評議員 日本膵臓学会認定指導医 日本臨床栄養代謝学会学術評議員 医学博士 |
| 医長 | 田渕 幹康 |
日本外科学会専門医 |
| 医長 | 德丸 哲平 |
日本外科学会専門医・指導医 |
| 医長 | 上村 直 |
日本外科学会専門医 |
| 副医長 | 坂本 真也 |
日本外科学会専門医 |
近年外科学分野においても多施設共同前向き比較試験で、治療成績などを評価し論文化されることが多くなっています。そしてビッグデータと称し、様々な疾患において国レベルでの解析が行われています。しかし残念ながら外科手術手技のレベル(特に高難度手術に関して)は、地域間および施設間での格差が大きく、これらの結果が日常診療に直結するとは言い難いです。これらを参考にしつつ、地域医療と連携しひとりひとりの患者さんにあった医療をそれぞれの施設で最善を尽くしていくことが肝要であると考えます。多施設で行われた研究結果が各々の施設の診療にそのまま当てはまることは考えにくく、膵頭十二指腸切除術を含めて肝胆膵外科手術は認定施設に集約して手術を行うことにより、手術成績向上ひいては手術を受ける患者さんの利益につながると考えます。