循環器内科
1.当科の診療体制
当科は、主に成人の心臓血管病の診断、治療を受け持っています。現在の我々の体制の柱は、救急医療、高度医療、そして地域連携です。
1)救急医療に対しては当科が扱う疾患は急性心筋梗塞や急性心不全などの重篤な救急疾患が多く、その診断や治療には迅速性が要求されます。当院は循環器内科医師と救命救急科が連携を取り、ドクターヘリ・ドクターカーでの搬送も可能であり、迅速かつ適切な医療が提供できます。
2)高度医療に関しては、年間約300件の冠動脈インターベンションを施行しております。通常のステント治療はもとより、高度石灰化病変に対するロータブレーター、偏在性動脈硬化病変に対するDCA、血栓性病変に対するエキシマレーザーなどの治療も可能であり、症例毎に適切な治療を心がけています。2023年9月から高度石灰化病変に対する冠動脈IVL(Intravascular Lithotrypsy)システムが導入され、より効果的な治療の提供が可能となっております。また適切な治療のために、心臓超音波検査、心筋シンチ、CTなどの非侵襲的な検査で適切な診断を十分に行っております。
心臓弁膜症に対するカテーテル治療については、2015年より経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が開始され、多職種からなるハートチームと協力して、安全かつ効果的な治療を提供しております。また2019年5月からは、僧帽弁閉鎖不全症に対するマイトラクリップが開始されており、その治療範囲は広がっております。
不整脈領域に関してもカテーテルアブレーションに加えて、永久ペースメーカー留置、植え込み型除細動器、心室再同期療法などを積極的に行っております。特にカテーテルアブレーションに関しては2023年10月から不整脈専門医が新たにスタッフに加わり、心房細動を含めた難治性不整脈に対する治療も積極的に行っております。またリードレスペースメーカーや経皮的リード抜去などの最先端治療も多くの患者さんに行っております。
3)地域連携については「地域完結型」の医療の強化に努めています。ご紹介頂いた患者さんに対する適切な診断・治療の後は、必ずご紹介元であるかかりつけ医の先生方の所で継続した診療をお願いすることを徹底します。かかりつけの先生方が地域の患者さんに対して、循環器疾患予防を実践し、診療に困った場合や専門治療が必要な場合はいつでも遠慮なく紹介でき、当科での専門治療後は地域に速やかに帰ることができるシステムを目指しています。
2.当科の診療対象
以下にあげる循環器疾患すべてを対象としています。
- 1. 狭心症、心筋梗塞症(急性期、慢性期を問わず)などの虚血性心疾患
- 2. 心臓弁膜症(大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症等)
- 3. 心不全
- 4. 心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症など)
- 5. 心膜疾患 (急性心膜炎、収縮性心膜炎など)
- 6. 成人の先天性心疾患
- 7. 不整脈 (上室性・心室性頻脈、徐脈、失神など)
- 8. 急性大動脈解離、大動脈瘤などの大動脈疾患
- 9. 閉塞性動脈硬化症、腎動脈狭窄等の末梢動脈疾患
- 10. 肺塞栓症
- 11. 下肢深部静脈血栓症等の静脈疾患
3.当科スタッフ(2024年4月現在)
氏名 | 役職 | 卒業年数 | 資格 |
---|---|---|---|
山本 克人 | 副院長 (兼)循環器病センター長 (兼)糖尿病・内分泌内科長 (兼)臨床研修管理センター長 |
昭和61年卒 | 医学博士 日本内科学会認定医・指導医 日本循環器病学会専門医 日本不整脈心電学会専門医・指導医・評議員 植込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療研修修了医 日本高血圧学会指導医 |
尾原 義和 | 循環器内科 科長 |
平成9年卒 | 日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本循環器学会専門医 日本心血管インターベンション治療学会専門医 日本超音波学会専門医・指導医 経カテーテル的大動脈弁置換術指導医 WATCHMAN実施医 浅大腿動脈ステントグラフト実施医 エキシマレーザー・Evolution心内リード抜去資格 植込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療研修修了医 |
川田 哲史 | 循環器内科 医長 |
平成16年卒 | 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会専門医 日本不整脈心電図学会専門医・評議員 WATCHMAN実施医 エキシマレーザー・Evolution心内リード抜去資格 植込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療研修終了医 |
福岡 陽子 | 循環器内科 医長 |
平成20年卒 | 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会専門医 日本超音波学会専門医・指導医 日本医師会認定産業医 植込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療研修修了医 |
吉村 由紀 | 循環器内科 医長 |
平成22年卒 | 日本内科学会認定医 日本循環器学会専門医 WATCHMAN実施医 |
4.実績
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|---|---|---|
冠動脈造影 | 1158 | 1022 | 781 | 727 | 740 | 670 |
PCI | 399 | 330 | 269 | 299 | 325 | 270 |
カテーテルアブレーション | 66 | 38 | 25 | 11 | 9 | 23 |
恒久的ペースメーカー | 70 | 68 | 69 | 90 | 81 | 109 |
植え込み型除細動器 | 4 | 4 | 8 | 3 | 5 | 10 |
両心室ペーシング | 15 | 6 | 4 | 5 | 5 | 6 |
TAVI | 33 | 33 | 39 | 32 | 42 | 47 |
マイトラクリップ | 13 | 19 | 17 | 19 | 15 | |
WATCHMAN | 12 | 17 | 9 | |||
経皮的リード抜去 | 13 | 8 |
5.学会発表 2023年
第87回日本循環器学会学術集会 2023年3月10日(金)~12日(日) 福岡
Clinical short-term outcome of 1-month dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention with directional coronary atherectomy followed by drug-coated balloon.
Yoshikazu Ohara, Masato Takeuchi, Yuki Yoshimura, Yohko Fukuoka, Katutoshi Tanioka, Katsuhito Yamamoto
第122回日本循環器学会中国・四国合同地方会 2023年6月3日(土)・4日(日)松山
ペースメーカーチェックで異常が指摘できなかったペーシング不全の一例
尾原 義和、竹内 雅音、吉村 由紀、福岡 陽子、谷岡 克敏、山本 克人
第13回日本経カテーテル心臓弁治療学会学術集会 2023年7月28日(金)・29 日(土)東京
マイトラクリップ留置時にシャフト離脱困難となり、leaflet injuryを来した一例
尾原義和 竹内雅音 吉村由紀 福岡陽子 山本克人
第31回日本心血管インターベンション治療学会学術集会 2023年8月4日(金)~ 6日(日)福岡
Transcatheter Aortic Valve Implantation via the Right Subclavian Artery Approach in patient with Subacute Type B Aortic Dissection
Y Ohara, M Takeuchi, Y Yoshimura, Y Fukuoka, K Yamamoto
第29回日本心血管インターベンション治療学会中国四国地方会 2023年9月2日(土)・3日(日)岡山
急性心筋梗塞にたこつぼ型心筋症を併発し、心原性ショックとなった一例
尾原 義和、竹内 雅音、吉村 由紀、福岡 陽子、山本 克人
日本超音波医学会第33回四国地方会学術集会 2023年10月14日(土) 香川
マイトラクリップ留置数日後にsingle leaflet device attachmentを認めた一例
尾原 義和 , 竹内 雅音 , 吉村 由紀 , 福岡 陽子 , 山本 克人
ストラクチャークラブ・ジャパン ライブデモンストレーション2023 2022年11月3日(金)~ 11月4日(土)東京
WATCHMAN FLX の留置に難渋したReverse chicken-wing typeの左心耳の一例
尾原 義和、竹内 雅音 , 吉村 由紀 , 福岡 陽子 , 山本 克人
第123回日本循環器学会四国地方会 2023年12月2日(土)香川
ブタ生体弁によるSA V R後、S V Dに対して治療介入を要した4例
竹内 雅音、島田ゆうじ、木原 一樹、近藤 庸夫、吉村 由紀、福岡 陽子、
尾原 義和、山本 克人、大上 賢祐
治療方針に苦慮した植え込み型除細動器のリード感染の一例
尾原 義和、竹内 雅音、吉村 由紀、福岡 陽子、山本 克人
カンファレンス