婦人科
- 婦人科とは
- 婦人科の病気について
- 当院の婦人科の特徴
- 女性総合外来
- 婦人科腫瘍
- 現在行っている婦人科悪性腫瘍の手術術式
- 研究、学会活動
- 治療実績
- 傷の小さな手術について(腹腔鏡とダビンチ手術)
- 医師紹介(専門医・指導医・資格)
- 当院で産科/婦人科の研修を考えている方へ
- 産婦人科診療に関するご相談を受け付けています
婦人科とは
産婦人科は婦人科腫瘍、産科周産期医療、生殖医療とその他疾患に専門が更に分かれて来ています。婦人科は婦人科腫瘍とその他疾患を取り扱います。
婦人科の病気について
婦人科良性腫瘍(子宮筋腫、卵巣のう腫など)、悪性(がん)腫瘍、性器脱、子宮内膜症、骨盤内感染症、月経不順、更年期障害などの病気を取り扱っています。
当院の婦人科の特徴
腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍(いわゆるがん)があります。良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症、良性卵巣腫瘍、子宮脱などの骨盤臓器脱)に対して、当院では内視鏡手術(腹腔鏡、子宮鏡手術)を積極的に行っております。
悪性腫瘍では、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、外陰がん、絨毛性疾患の診断、治療を行っています。各診療科間(外科、泌尿器科など)の連携がよく、診断、治療における横断的協力体制が速やかにとれ、集学的医療を提供することができます。
女性総合外来
女性の医師が診察をさせていただく女性のための外来です。女性特有の症状や心身の問題などを抱えておられる方や、なかなか恥ずかしくて受診できずにいた方など、気軽にご相談ください。
婦人科腫瘍
(1) 内視鏡手術(腹腔鏡手術と子宮鏡手術)
腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍(いわゆる癌)があります。良性疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症、良性卵巣腫瘍、子宮脱などの骨盤臓器脱)に対して、当院では内視鏡手術(腹腔鏡、子宮鏡手術)を積極的に行っております。
また、悪性腫瘍については、子宮体癌初期に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を行っております。
2022年10月より、ロボット支援下子宮全摘術を開始しております。現在、ロボット支援下で、良性の子宮全摘術と仙骨膣固定術(子宮脱の子宮のつり上げ手術)を行っています。手術件数は2023年8月、50症例を超えました。現在術者2名体制でロボット手術を行っております。
子宮鏡手術は、全身麻酔下に経腟的に子宮鏡を用いて、病変を切除する手術です。入院は2泊3日で、痛みもなく手術翌日に退院できます。
子宮鏡手術で可能な術式
子宮鏡下ポリープ切除術、子宮鏡下子宮筋腫核出術など。
腹腔鏡手術とは、おへそ周囲を2cmほど皮膚切開し、カメラをおへそから挿入し、下腹部に5mm の皮膚切開を2~3か所いれます。腹腔鏡はおなかを切らない低侵襲な手術です。
小さな血管まで拡大視野で確認しながら行うため、手術時間は開腹手術より伸びますが、出血や痛みが少ないため、入院日数が短くなります。腹腔鏡手術は、美容的にも優れており、患者さんにとって、負担の少ない手術となります。入院期間の目安は、手術前日に入院し、術後は4日目に退院することになります。仕事などの社会復帰も術後2週間前後から可能となります。
腹腔鏡手術で可能な術式
腹腔鏡下子宮全摘術、腹腔鏡下子宮筋腫核出術、腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術、腹腔鏡下異所性妊娠手術、腹腔鏡下仙骨腟固定術など。
腹腔鏡手術が可能かどうか判断するため、画像検査(超音波検査、MRI)が必要です。腹腔鏡手術を希望される方は、一度当科にご相談ください。
(2)骨盤臓器脱手術(POP手術)
子宮脱や膀胱脱などの骨盤臓器脱に対して、腟式に子宮を摘出後、腟外陰部を形成する術式(従来法)と、腹腔鏡下に子宮体部を切除した後、子宮頚部にメッシュシートを縫合して、仙骨周囲の前縦靭帯に固定してつり上げる、腹腔鏡下仙骨腟固定術(laparoscopic sarcocolpopexy: LSC)を取り入れております。LSC手術は、従来法の再発率は20-30%のに対して、LSC手術の再発率は10%未満と少ないです。手術の適応患者さんは、年齢70歳未満を目安としております。また、肥満がないこと、また糖尿病がないことを条件とさせて頂いています。LSC手術をご希望される方は、当科に一度ご相談ください。
良性腫瘍の手術
手術の治療計画表(クリニカルパス)に基づいて入院日数が決まっています。
入院時期 | 手術日 | 手術後入院期間 | 合計入院期間 | |
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良性腹腔鏡手術(子宮全摘出術、卵巣嚢腫、筋腫核出など) | ||||
良性開腹手術(卵巣嚢腫、筋腫核出など) | ||||
良性開腹手術(子宮全摘出術など) | ||||
子宮膣部円錐切除術・子宮膣部蒸散術 | ||||
子宮鏡下手術(子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫) |
悪性腫瘍の治療
悪性腫瘍の取扱いには、診察、CT . MRI、PET検査等の読影、骨盤の解剖、手術手技、細胞診、組織診、抗がん剤化学療法、放射線治療、遺伝子、臨床試験、統計について十分な知識あるいは技術が必要とされますので、日々それらを高める努力を行っています。
婦人科腫瘍(良性、悪性)の治療として手術を行う場合、手術の質が手術後の生活の質や予後を左右するため、医療の進歩に対応して婦人科手術手技を高いレベルに保ち続けるようにしています。
高知医療センター婦人科としては、前病院時代の1996年より悪性腫瘍治療データが集積され、データベースが構築されています。
データベースは、5年、10年生存率を計算するのみではなく、各疾病のいろいろな項目(リスクファクター)を調べることにより、今後の治療法の進歩に役立つと考えられます。
現在、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌では日本婦人科腫瘍学会が作成した治療ガイドラインがあります。これらはevidenceに基づいた医療と治療の均霑化に大きく貢献するものと思われます。
現在行っている婦人科悪性腫瘍の手術術式
(1)子宮頸癌
子宮頸癌臨床進行期
b1期:広汎性子宮摘出術 + 骨盤リンパ節郭清術
Ib2期(健常筋層5mm以上)~ IIa期:広汎性子宮摘出術 + 骨盤リンパ節郭清術 + 傍大動脈リンパ節郭清術 (下腸管膜動脈のレベルまで)
Ib2期(健常筋層5mm未満)、IIb期以上:放射線化学療法
広汎性子宮摘出術は原則として骨盤神経温存手術を施行しています。
骨盤神経温存手術: 基靭帯( 深子宮静脈 )は骨盤神経叢の上に乗るように接しているため、基靭帯を子宮方向へ挙上させながら骨盤神経叢と分離し骨盤神経叢子宮枝のみを切断することにより基靭帯の摘出長を保ったまま膀胱への神経の損傷を最小限にします。
また膀胱子宮靭帯後層の血管である中膀胱静脈などをそれぞれ露出、結紮切断することにより、そのすぐ背側にある骨盤神経叢膀胱枝を直視下に確認しながら傍膣組織を切断する術式です。このことにより手術後の排尿障害を少なくします。
放射線化学療法は抗がん剤を併用しながら放射線治療を行う方法です。放射線治療はお腹の上から照射する外照射と子宮の内から照射する腔内照射を行っております(腔内照射は主に高知大学放射線科で施行)。放射線治療レベルの向上とともに副作用が軽減されてきたため適応症例が拡大してきており、以前では手術療法が選択されていた症例でも放射線化学療法が選択されることがあります。
(2)子宮体癌(新分類)
子宮体癌臨床進行期
Ia期:(準広汎性)子宮摘出術 + 両側付属器摘出術 + 骨盤リンパ節郭清術
Ib期 :(準広汎性)子宮摘出術 + 両側付属器摘出術 + 骨盤リンパ節郭清術+ 傍大動脈リンパ節郭清術 ( 左腎静脈のレベルまで )
子宮体癌は手術と抗がん剤治療が行われています。手術後の病理組織結果によって抗がん剤治療が必要になることがあります。
(3)卵巣癌
卵巣癌の手術術式
両側付属器(卵巣,卵管)摘出術 + 子宮摘出術 + 大網切除術 + 傍大動脈リンパ節郭清術 ( 左腎静脈のレベルまで ) + 骨盤リンパ節郭清術
卵巣癌は手術と抗がん剤治療が主な治療法になります。
研究、学会活動
- 日本産科婦人科学会へ悪性腫瘍(癌)の治療成績を登録しています。
国内および国際学会での発表、国内雑誌、国際雑誌へ論文の投稿を行っています。 - JGOG ( 婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構 以下参照)の認定施設として、他施設と共同臨床試験 ( 海外を含む) を行っています。臨床試験は臨床試験審査委員会IRB ( Institutional Review Board ) に臨床試験計画書を提出し承認を受け行っています。