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抄読会

最新文献紹介

2022年

PMIDをクリックするとpubmedのページにリンクします。

日付 2022年10月11日
担当 岡 聡司
タイトル Ciltacabtagene Autoleucel,an Anti-B-cell Maturation Antigen Chimeric Antigen Receptor T-Cell Therapy,
for Relapsed/Refractory Multiple Myeloma:CARTITUDE-1 2Year Follow-UP
PMID 35658479
著者 Thomas Martin
文献 JCO
要旨 過去に3つ以上の治療を受けたか,プロテアソーム阻害剤と免疫調整薬に対し2重不応であり抗CD38抗体の治療歴のある再発/難治性の多発性骨髄腫に対する単回のclita-celの安全性と有効性を評価する第Ⅰb/Ⅱ試験(CARTITUDE-1)の結果の追跡報告。追跡期間27.7ヶ月で全体の奏功率は97.9%,82.5%の患者で厳密な完全奏功を達成した。27ヶ月のPFSとOSはそれぞれ54.9%と70.4%であった。奏効期間,PFS/OSは高リスクの細胞遺伝学的異常,ISSⅢ期,高腫瘍量,形質細胞腫の患者で短かった。 新規のCRSは認めずパーキンソニズムを呈した症例を1例新規に認めた。



日付 2022年9月20日
担当 小柴 (研修医)
タイトル Smart Start:Rituximab,Lenalidomide,and Ibrutinib in Patients With Newly Diagnosed Large B-Cell Lymphoma
PMID 35952327
著者 Jason Westin
文献 JCO
要旨 60人の新規診断Non-GCB TypeのDLBCLに対しRLI(Rituximab 375mg/m^2 day1,Lenalidomide 25mg/日 day1-10,Ibrutinib day1-21)を2サイクルを行いその後標準化学療法(R-EPOCHまたはR-CHOP)6サイクル投与するという治療の単群第Ⅱ相試験。RLI療法2サイクル後の全奏功率は86.2%,RLI+化学療法後の完全寛解率は94.5%であった。2年間の無増悪生存率は91.3%,全生存率は96.6%であった。



日付 2022年9月6日
担当 松田 真幸
タイトル Reduced-dose WBRT as consolidation treatment for patients with primary CNS lymphoma:an LOC network adv,2022
PMID 35772168
著者 Paul Lesueur
文献 Blood adv
要旨 MTXベースの大量化学療法後にCRまたはCRuとなり地固め療法として低線量全能放射線治療(rdWBRT:23.4Gy 13分割)を受けた60歳未満のPCNSLに対するレトロスペクティブ研究および可能な場合プロスペクティブ神経心理学的フォローの結果。2013年~2018年までの追跡の間に31%の患者が再発し放射線治療から再発までの期間中央値は8.7ヶ月であった。1年,2年,5年後のPFSはそれぞれ89%,72%,69%で1年,2年,5年後のOSはそれぞれ100%,89%,86%であり標準用量のWBRT(45Gy 25分割)で観察されたものと一致した。一部の患者に対する36ヶ月間神経心理学的追跡調査の結果はほとんどの患者でベースラインの維持または改善となった。



日付 2022年8月30日
担当 井上 湧介
タイトル Overall Survival with Brentuximab Vedotin in Stage Ⅲ or Ⅳ Hodgkin’s Lymphoma
PMID 35830649
著者 Stephen M Ansell
文献 NEJM
要旨 未治療のⅢまたはⅣ期の古典的ホジキンリンパ腫に対するA+AVDとABVDの治療(ECHELON-1試験)の5年間の追跡調査。 6年間生存率はA+AVDで93.9%,ABVDで89.4%であり無増悪生存期間ははA+AVDの方がABVDより長かった。(病勢進行または死亡のハザード比 0.68%)移植を含む後治療を受けた患者はA+AVDの方がABVDよりも少なく二次癌の報告も23例対32例でA+AVDで少なかった・末梢神経障害はA+AVDでABVDより多く認められたが大部分の患者で追跡調査までに消失または改善した。



日付 2022年8月23日
担当 谷中(研修医)
タイトル R-CHOP Vs DA-EPOCH-R for Double-Expressor Lymphoma:A Univercity of California Hematologic Malignancies Consortium Retrospective Analysis
PMID 35858904
著者 Tamar Othman
文献 Clin Lymphoma Myeloma Leuk.
要旨 Double Expressor Lymphoma(DEL)の患者155名におけるR-CHOP(61名)とDA-EPOCH-R(94名)の後ろ向き解析。3年PFSは33.2%対57.2%(P=0.063),OSは72.2%対71.6%(P=0.43),追跡期間中央値は2.43年と2.89年であった。65歳未満の患者ではDA-EPOCH-RでPFSが改善した。(HR:0.41)CRRとORRも同様の割合であった。再発率は51.9%対28.6%(P=0.069)で有意差は無かった。自家末梢血幹細胞移植はR-CHOP対DA-EPOCH-Rで23.0%対8.5%(P=0.017)でR-CHOPで高率であった。



日付 2022年8月16日
担当 藤下惠悟
タイトル Mycophenolate Mofetil:A Friend or a Foe with Post-Transplantation Cyclophosphamide and Tacrolimus Prophylaxis in HLA-Matched Donors?
PMID 35662592
著者 Rohtesh S Mehta
文献 ASTCT
要旨 HLA適合ドナーにおけるPTCYによるGVHD予防においてMMF併用の意義についての検討。HLA適合ドナーからの移植においてPTCY/TACのみの242名とPTCY/TAC/MMF併用の144名の成績を比較。MMF併用群で有意にgrade2-4のaGVHDの頻度が高く(HR:2.1)ステロイド抵抗性のaGVHDのaGVHDの頻度も有意に多かった(HR:4.8)。一方再発率はMMF併用群で低く(HR:0.5)PFSも良好であった。(HR:0.7)grade3-4のaGVHD,cGVHD,NRM,OSに有意差は無かった。MMFの併用は好中球生着の遅延(2日間)と細菌感染症の増加と関連した。16名で便中の腸内細菌を評価したところMMFを内服していた患者でβ-グルクロニダーゼ産生菌の割合が増加しておりMMFに関連するGVHD発症を示唆した。



日付 2022年8月2日
担当 今井 利
タイトル Teclistamab in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma
PMID 35661166
著者 Philippe Moreau
文献 NEJM
要旨 T細胞表面のCD3と骨髄腫細胞上のBCMAの両方を標的とするBite抗体であるテクリスタマブについての第1-2相臨床試験。IMiDs,PI,抗CD38抗体の3クラス全ての投与歴を持つ患者を含む3ライン以上の治療歴のあるR/RMM患者を対象。0.06mg/kgから0.3mg/kgの用量漸増投与後週1回1.5mg/kgのテクリスタマブ皮下注射を行った。165名中77.8%が3クラス全てに抵抗性で治療歴の中央値は5種類であった。14.1ヶ月の時点で全奏功率は63%,CRは39.4%であった。CRのうち46%でMRD陰性となった。奏効持続期間中央値は18.4ヶ月,PFS中央値は11.3ヶ月であった。有害事象としてはCRSが72.1%(grade3が0.6% grade4はなし),好中球減少が70.9%(grade3または4が64.2%),貧血が52.1%(grade3または4が37%),血小板減少が40%(grade3または4が21.2%)であった。感染症も76.4%(grade3または4が44.8%)みられた。ICANS(3%すべてgrade1または2)を含む14.5%に神経毒性が見られた。



日付 2022年7月26日
担当 町田 拓哉
タイトル Outcomes following venetoclax-based treatment in therapy-related myeloid neoplasms
PMID 35560061
著者 Mithun Vinod Shah
文献 Am J Hematol
要旨 治療関連骨髄増殖性腫瘍(t-MN)に対するVenetoclaxの有効性を解析。解析された378名のt-MN患者の内96名がVenetoclaxを投与された。PFS中央値は4.9ヶ月,OSは7ヶ月であった。傾向一致解析ではVenetoclaxベースのレジメンを使用することは脱メチル化剤ベースの治療と比較してよりすぐれた生存率と関連した。(9.4ヶ月対6.1ヶ月)



日付 2022年7月19日
担当 岡 聡司
タイトル Second Revision of the International Staging Sysdtem(R2-ISS)for Overall Survaival in Multple Myeloma:A European Myeloma Network(EMN) Report Within the HARMONY Project
PMID 35605179
著者 Mattia D’Agostino
文献 JCO
要旨 初発時の多発性骨髄腫に対する予後予測モデルであるR-ISSを1q+を含む予後不良因子を含め改訂する目的に各リスクを分析。トレーニングセット(N=7072,追跡期間中央値75ヶ月)を解析しISS,del(17p),LDH,t(4,14)および1qがPFSとOSに影響することが判明した。R2-ISSに関してOSの中央値はⅠ期,Ⅱ期,Ⅲ期,Ⅳ期でそれぞれ未到達,109.2ヶ月,68.5ヶ月,37.9ヶ月でありPFSの中央値は68ヶ月,45.5ヶ月,30.2ヶ月,19.9ヶ月だった。



日付 2022年6月28日
担当 南(研修医)
タイトル Impact of comorbidty in older patients with peripheral T-cell lympoma:an international retrospective analysis of 891patients
PMID 34570186
著者 Monica Mead
文献 Blood Adv
要旨 70歳以上のPTCL患者をCCI(Charlson Comobidity Index)に準じグループ分けしその予後について後方視的に解析。CCI>1の患者(予後4.4ヶ月)はCCI=1(予後8.4ヶ月)、CCI=0(予後11.9ヶ月)の患者と比較して予後が短かった。また5歳の年齢差が重要な予後不良因子であった。



日付 2022年6月21日
担当 松田 真幸
タイトル Triplet The rapy, Transplantation, and Maintenance until progressionin Myeloma
PMID 35660812
著者 Paul G Richardson
文献 NEJM
要旨 成人新規症候性多発性骨髄腫患者におけるRVD療法にASCTを追加しLENによる維持療法を行うことについての第3相臨床試験。両群共にLENによる維持療法は行われた。追跡期間76ヶ月でRVD単独療法群は移植群より53%PDまたは死亡リスクが高く,無増悪生存期間中央値はRVD単独療法 vs 移植群で46.2ヶ月 vs 67.5ヶ月であった。グレード3以上の治療関連有害事象は78.2% vs 94.2% 5年生存率は79.2% vs 80.7%であった。また過去の臨床試験(IFM2009)ではLENによる維持治療が1年間しかおこなわれなかったが本試験ではLENによる維持療法はPDとなるか許容できない副作用が生じるまでLENによる維持療法が投与された。そのためか過去の臨床試験と比較し本試験においてLENによるPFSの延長効果も確認された。



日付 2022年6月14日
担当 藤下惠悟
タイトル Outcomes After Donor Lympocyte Infusion in Patients With Hematological Malignancies:Donor Characteristics Matter
PMID 35104660
著者 Jose Ros-Soto
文献 Transplantation and Cellular Therapy
要旨 同種移植におけるDLI後の完全ドナーキメリズムや原疾患の寛解,合併症に関与する因子の評価目的の後方視的解析。T細胞の完全ドナーキメリズムの達成が疾患コントロールと生存率の改善に寄与した(76.5% vs 12.5%と45.5%と12.5%)aGVHDに関して若年ドナー(30歳以下)の場合そうでない場合と比べて8%と36%と有意に若年ドナーで低かった。cGVHDは完全ドナーキメリズムに達成した場合起こりやすかった。(34% vs 10.3%)



日付 2022年6月7日
担当 入吉 宏紀
タイトル Safety and Efficacy of Subcutaneous Rituximab in Previously Untreated Pateints with CD20+ Diffuse Large B-Cell Lymphoma or Follicular Lymphoma:Results from an Italian Phase Ⅲb Study
PMID 35126524
著者 Mario Petrini
文献 Advances in Hematology
要旨 リツキシマブ 皮下注に対する第Ⅲb相臨床試験の結果報告。リツキシマブ375mg/m^2を静注で少なくとも1回は投与されたCD20陽性DLBCLまたは濾胞性リンパ腫を対象にリツキシマブ1400mg皮下注を投与。投与関連反応(ARR)は患者全体の6.3%,DLBCLで4.2%,FLで8.1%いずれも軽症であった。DLBCL患者2名にそれぞれクレブシエラ感染症および敗血症性ショックといった致死的有害事象を認めた。好中球減少症が最も一般的な有害事象であった。(8.9%)DLBCLではCRおよびCRuが65.2%,69.7% FLでは67.9%,73.6%となった。DLBCLとFLにおいてリツキシマブ静注から皮下注への切り替えはARRのリスクは低く満足のいく奏効が得られた。



日付 2022年5月31日
担当 西森(研修医) 
タイトル All-trans retinoic acid plus low-dose rituximub vs low-dose rituximub in corticosteroid-resistant or relapsed ITP
PMID 34665865
著者 Ye-Jun Wu
文献 Blood
要旨 ステロイド抵抗性または再発ITPに対する低用量リツキシマブ(LD-RTX)(1回 100mg 固定用量/週 4回)にATRA 20mg/m^2/日 12週間を併用した際の比較試験。ATRA併用群Overall response(OR)(血小板数≧30×10^9/Lが7日間隔を開けて2回観察,ITP特異的治療なしでベースラインの2倍以上に血小板数増加),Sustainable response(SR)(1年間特異的治療を必要とせず,血小板数≧30×10^9/L 6ヶ月連続で出血なし)と定義したエンドポイントに関してORはATRA併用群:LD-RTX単剤=80%:59% SRは61%:41%とATRA併用群で高かった。ATRA併用群で見られた最も一般的な有害事象は皮膚乾燥(ATRA併用群:LD-RTX単剤=40.2%:0%),頭痛またはめまい(18.8%:10.7%)であった。



日付 2022年5月24日
担当 井上 湧介
タイトル Rilzabrutinib,an Oral BTK Inhibitor,in Immune Thrombocytopenia
PMID 35417637
著者 David J Kuter
文献 NEJM
要旨 経口BTK阻害薬のリルザブルチニブに対する第1・2相臨床試験。前治療の種類の中央値4の60名を対象に試験した。内(PSLおよびEPAG内服下で試験を受けた者もいた)40%で血小板上昇が得られ,治療関連有害事象はすべてGrade1または2であった。BTK阻害剤に典型的に診られる心房細動などは認めなかった。本試験の結果リルザブルチニブについて400mg 1日2回が以降の臨床試験の容量として同定された。



日付 2022年5月17日
担当 今井 利
タイトル Ivosidenib and Azacitidine in IDH1-Mutated Acute Myeloid Leukemia
PMID 35443108
著者 Pau Montesinos
文献 NEJM
要旨 IDH1変異陽性AML患者に対するIDH1阻害剤であるイボシデニブとアザシチジン併用療法による第3相試験の結果報告。イボシデニブ500mg/日とアザシチジン75mg/m^2 7日間とプラセボ+アザシチジンを比較。
12ヶ月時点の推定EFSはイボシデニブ+AZA群で37% プラセボ+AZA群で12% 生存期間中央値はイボシデニブ+AZA群で24ヶ月 プラセボ+AZA群で7.9ヶ月であった。GradeⅢ以上の有害事象としてはイボシデニブ+AZA群:プラセボ+AZA群として FNは28%:34% 好中球減少症は27%:16%
がみられた。出血性イベントは41%:29% 分化症候群は14%:8%であった。



日付 2022年5月10日
担当 町田 拓哉
タイトル Narsoplimab,a Mannan-Binding Lectin-Associated SerineProtase-2 Inhibitor,for the Treatment of Adult Hematopoietic Srem-Cell Transplantation-Associated Thrombotic Microangiopathy
PMID 35439028
著者 Samer K Khaled
文献 J Clin Oncol
要旨 HSCT-TMAに対するMASP-2インヒビターのナルソプリマブの安全性と効果について評価。ナルソプリマブ投与によりlaboratory TMAマーカー(血小板数とLDH)は61%の患者で改善し,臓器機能は74%の患者で改善が見られた。主な有害事象は感染症であったがナルソプリマブ投与による100日生存率の上昇がみられた。



日付 2022年4月26日
担当 岡 聡司
タイトル A phase3, open label,randomized study of asciminib STAMP inhibitor,bostinib in CML,after 2 or more prior TKIs
PMID 34407542
著者 Delphine Rea
文献 Blood
要旨 STAMPを特異的に標的とするBCR-ABL1阻害剤のアシミニブをCML-CP患者においてボスチニブと比較した。血球減少やアミラーゼ上昇、若干の心血管イベントにおいてはアシミニブの方が多かったが、Grade3以上の有害事象や治療中止に至る有害事象はアシミニブの方が少なかった。また24週目のMMR率もアシミニブで25.5% ボスチニブで13.2%とアシミニブの有効性が示唆された。



日付 2022年4月21日
担当 松田 真幸
タイトル Measurable residual disease response and prognosis in treatment-naïve acute myeloid leukemia with venetoclax and azacitidine
PMID 34910556
著者 Keith W Pratz
文献 JCO
要旨 AZA+VenによるAML治療においてCRcおよびMRD(10^-3)を達成した患者の転帰を調査。MRDが陰性化することはDoR EFS OSに影響していることが示された。



日付 2022年4月5日
担当 藤下惠悟
タイトル Relapse and Disease-Free Survaival in Patients With Myelodysplastc Syndrome Undergoing Allogeneic Hematopoietic Cell transplantation Using older Mtached Sibiling Donors vs Younger Matched Unrelated donors
PMID 35024768
著者 Guru Subramanaian Guru Murthy
文献 JAMA Oncol
要旨 MDSに対するHLA8/8適合同種移植に関して50歳以上の血縁ドナー(高齢MSD)と35歳以下の非血縁ドナー(若年MUD)を比較した報告。若年MUD vs 高齢MSDで 5年DFSは30.6%, 24.9% 移植後5年累積再発率は37.3%,49.6% NRMは32.2%,25.5% GVHDは48.3%,39.3%であった。(若年MUDの方が原病のコントロールつきやすいがGVHDが多かった)



日付 2022年3月31日
担当 今井 利
タイトル Acute promyelocytic leukemia current treatment algorithms
PMID 34193815
著者 Musa Yilmaz
文献 Blood Cancer J
要旨 APLに関するレビュー、肥満とヒスパニック系がリスク因子、WBC1万未満の低リスク群ではATRA+ATOによる寛解導入療法・地固めが標準で維持療法は基本的にしない。またATOはBBBを通過するため髄注もしない。一方でDSを発症しなくても体液貯留に傾きやすいほかQT延長や肝障害も発症しやすい。高リスク群でもATRA+ATOに加えてIDAまたはGOで分子学的寛解に到達すれば維持療法は不要。ATO未使用例では維持療法を考慮する。再発は3年以内に多くその場合にはATRAよりもATOやGOの方が効果を得られやすい



日付 2022年3月24日
担当 町田 拓哉
タイトル Dasatinib-based 2-step induction for adults with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia
PMID 34516628
著者 Isamu Sugiura
文献 Blood Adv
要旨 Ph-ALL患者78名(年齢中央値44.5歳・3/4で付加染色体異常あり・Major BCR-ABL陽性例が2割)に対してDA+PSLによる寛解導入療法とDA併用強化地固め療法によって全例が血液学的寛解に到達し52.6%がMRD陰性化を達成した。最終的に74.4%がCR1で移植に到達し3年EFS/OSは患者全体で66.2/80.5%、CR1で移植した患者では72.1/87.9%だった。Minor・Majorの違いや前処置強度は生存に影響を与えなかったが付加的染色体異常陽性例や移植前MRD陽性ではOSが有意に悪化した。ただし移植前MRD陽性例のOS悪化は再発ではなくNRM増加によるものであり無理な移植をした可能性もある。移植後再発した10名のうちBCR-ABL変異陽性例は8名で認められたがT315I変異陽性例はそのうち3名のみで、全体で5名は2nd SCTで救命が出来た。一方で移植前に再発した患者では全例でT315I変異が検出されていた。



日付 2022年3月17日
担当 藤澤 佑香
タイトル Maribavir for refractory cytomegalovirus infections with or without resistance post-transplant: results from a phase 3 randomized clinical trial
PMID 34864943
著者 Robin K Avery
文献 Clin Infect Dis
要旨 移植後(6割が臓器移植、4割が造血幹細胞移植)に対する治療抵抗性のCMV感染症(2週間以上CMVに対する治療をしてもCMV-DNAが1log以上低下しない症例)に対してMaribavir800mg/dayを内服した場合、GCVやVGCV、FCNやシドホビルなどの従来治療と比較して治療開始8週間後のCMVの消失率が23.9→55.7%に改善しその効果は治療終了後も持続した。副作用として味覚障害を認めたが重症度は軽微で治療完遂率も従来治療の31.6%代比較して77.9%と高かった。治療効果は年齢やDNA量に関係なく認められた、一方で基質がP糖蛋白である関係で免疫抑制剤の濃度が上昇するほかBBBを通過しないためCMV網膜炎や脳炎には無効である点に注意。またUL97を阻害するため標的が同じGCVとの併用は不可。



日付 2022年3月10日
担当 岡 聡司
タイトル Timig of high-dose methotrexate CNS prophylaxis in DLBCL: an analysis of toxicity and impact of R-CHOP delivery
PMID 32761231
著者 Matthew R Wilson
文献 Blood Adv
要旨 CNS再発高リスクの未治療DLBCL(年齢中央値61歳、男性6割、進行期8割、LDH高値7割、PS不良1/4、DHL3%、節外病変2か所以上5割、CNS-IPI高値5割、CNS浸潤なし)に対してR-CHOP療法6コースに加えてCNS再発予防の大量MTX(3g/m^2以上)を加える際にR-CHOP療法の途中で大量MTXを投与するのとR-CHOP療法6コース後に大量MTXを投与するのでは、途中投与の場合に粘膜障害やFNが有意に増加する一方で3年CNS再発率とOSとPFSは6.8/71.2/80.6%と最後に投与する場合の4.7/76.3/85.3%と比較して有意差を認めなかった。大量MTXを最後に投与した群ではPS不良でCNS-IPI高値の患者が多かったためR-CHOPを遅延させないことが予後の悪化を打ち消した可能性がある(ただし髄注の頻度は多い)。



日付 2022年3月3日
担当 松田 真幸
タイトル Response-adapted postinduction strategy in patients with advanced-stage follicular lymphoma: the FOLL 12 study
PMID 34709880
著者 Stefano Luminari
文献 JCO
要旨 未治療進行期FL(60歳以上が半数、6cm以上のbulky病変ありが56%、LDH上昇例が2割)に対して寛解導入療法(R-CHOP6割、BR4割)+R単剤2コース施行後にPR以上を達成した患者ではPET-CTでCMRかつ末梢血中のBCL2-IgH転座PCRが陰性であった場合でも2年間のリツキシマブ維持療法をした場合と比較して無治療経過観察の場合では3年PFSが92→78%に悪化する。同様にCMRかつMRDが陽性の場合にリツキシマブをweeklyに4回追加場合も維持療法と比較してPFSは悪化した。この傾向は年齢やR-CHOP/BR療法の選択に関わらず移管していた。逆にCT上PR以上でもPET-CTでCMRでない場合にIbritumomab Tiuwetanをリツキシマブ維持療法に加えて行なった場合、有意差はないものの2年PFSは3年PFSは50→70%に改善した。



日付 2022年2月24日
担当 藤下 惠悟
タイトル Axicabtagene Ciloleucel as second-line therapy for large B-cell lymphoma
PMID 34891224
著者 Frederick L Locke
文献 N Engl J Med
要旨 初回治療抵抗性または1st CR達成後1年以内に再発した大細胞型B細胞性リンパ腫患者(年齢中央値59歳、65歳以上が3割、DLBCLが7割、HGBL16%、DELが3割、GCB型6割、初回治療抵抗例では74%、LDH上昇が5割)に対する二次治療として通常の救援化学療法からの自家移植(ただし実際に自家移植を出来たのは34%)と比較してAxi-cel(目標細胞数2.0×10^6/kg、前処置FLU+CY)では割り当てられた患者の94%が実際にAxi-celの輸注が出来、CR率が32→65%に2年EFSが16%→41%に改善した。2年OS52%→61%と有意差はなかったもののこれは標準治療群のうち約半数がその後CAR-T治療を受けた影響と考えられた。治療効果は全てのサブグループで認められた一方でGrade3以上のCRSを6%認め、3割の患者で輸注1ヶ月後もGrade3以上の血球減少を認めた。



日付 2022年2月17日
担当 今井 利
タイトル Idecabtagene Vicleucel in relapsed and refractory multiple myeloma
PMID 33626253
著者 Nikhil C Munshi
文献 N Engl J Med
要旨 最終治療から2ヶ月以内に再発・治療抵抗性となったMM(年齢中央値61歳、診断から治験参加まで中央値6年、5割が骨髄中のplasma50%以上、4割がEMD陽性、1/3が高リスク染色体異常あり、8割がIMIDs・PI・抗CD38抗体全てに抵抗性)に対するBMCAを標的としたCAR-T療法を評価した第Ⅱ相試験:治験参加者のうち9割が実際にCAR-T輸注が出来た。治療効果は患者年齢や高リスク染色体異常・EMDなどは関係しない一方で細胞数依存性で、4.5×10^8の細胞数を輸注した場合は81%がVGPR以上、39%がCR以上の効果を得て中央値12.1ヶ月のPFSを達成。CRとなった患者のうち79%がNGS法によるMRDが陰性化した。一方で輸注1年後にも36%の症例でCAR-T細胞が残存しているものの最終的に8割以上が再発した。BMCA欠損による再発はまれ多くはBMCAが残存したまま再発した(抗Ide-cel抗体が出来た)。CRSや神経毒性は用量依存性で4.5×10^8の細胞数を輸注した場合はそれぞれ96/20%で発症した。一方で血球減少は用量非依存性で他に出血傾向やCMV・アスペルギルス感染も多かった。



日付 2022年2月10日
担当 町田 拓哉
タイトル Measurable residual disease response and prognosis in treatment-naïve acute myeloid leukemia with venetoclax and azacitidine
PMID 34910556
著者 Keith W Pratz
文献 JCO
要旨 未治療AML286名に対してAza+VENによる寛解導入療法を行ないCRcを得られた190名中MCFによるMRD(感度は10-3レベル)を評価し他164名のうち67名が少なくとも1回はMRDの陰性かを確認した。MRDの陰性化率はNPM1変異陽性例で80%と最も高く、MRDが一回でも陰性化した場合はEFS・OS共に改善した。化学療法4コース後移行でMRDの陰性化した例も半分近くを占めておりこれらの例でもOSは同じように良好であった。



日付 2022年2月3日
担当 藤澤 佑香
タイトル Interferon therapy for pregnant patients with essential thrombocythemia in Japan
PMID 32965639
著者 Yoko Edahiro
文献 Int J Hematol
要旨 本邦における妊娠したET患者9名に対するIFN+アスピリン/ヘパリンの効果を評価した後方視的研究。アスピリンは妊娠36週以降より未分画ヘパリンに切り替え産後6週まで継続。 高リスク例(Plt>150万以上、血栓・出血既往、流産・妊娠高血圧症歴あり・JAK2V617F変異陽性)に対してIFN300万Uの週3回投与で5名は血小板30~40万まで低下し他は600万Uの週3回投与で血小板数低下を認めた。8名が経腟分娩で出産でき出生児の健康状態に問題はなく母体の副作用も軽微であった。ただしtriple negativeの症例ではIFNの奏効が乏しかった。


日付 2022年1月13日
担当 岡 聡司
タイトル Polatuzumab vedotin in previously untreated diffuse large B-cell lymphoma
PMID 34904799
著者 Herve Tilly
文献 N Engl J Med
要旨 未治療のDLBCL(年齢中央値65歳、7割が白人、9割が進行期、約半数が複数の髄外病変あり、約43%がバルキー病変あり、LDH正常例が3割、ABC型が3割、DEL/TELが4割、DHL/THLが1割弱)に対して21日周期のPpla-R-CHP(Pola1.8mg/kg, R375mg/m^2, CY750mg/m^2, DXR50mg/m^2)はR-CHOP療法と比較して2年PFSを70.2→76.7%に改善させた。CR率は78 vs 74%と同等であり再発例が減ることでPFSが改善する。ただし年齢60歳以下、GCB型、バルキー病変あり、IPI2点以下の症例ではPola-R-CHP療法によるPFSの改善効果は得られず、OSもその後の救援療法による相殺で有意差を得られなかった。PNの頻度はどちらも5割前後だがFNは13.8 vs 8.0%とPola-R-CHP群で多かった。



日付 2022年1月6日
担当 松田 真幸
タイトル CNS involvement in AML at diagnosis is rare and does not affect response or survival: data from 11 ECOG-ACRIN trials
PMID 34597373
著者 Chezi Ganzel
文献 Blood Adv
要旨 新規診断のAML(8~9割がde novo、年齢中央値45~50歳)3240名に対する臨床試験でのCNS浸潤の頻度と予後への影響を評価した後方視的解析。初診時CNS浸潤陽性の頻度は1.11%でFAB分類M4が55.6%と高頻度でWBC高値の例も多かった。一方でCNS浸潤の頻度はルーチンに髄液検査をした臨床試験に限っても0.86%と増加せずCR率やOS中央値も52.8%/11.4ヶ月とCNS浸潤陰性例の60%/12.7ヶ月と有意差はなく予後への影響は認められなかった。ただし試験年代が古くCNS浸潤陰性例の予後が悪いため有意差が出なかった可能性がある。